第24話変化




「俺、一人暮らししようと思って」




「一人暮らし?」




「うん、大学の近くでもうここに決めたんだ」




唐突に言ってきた8月。





もう物件すら決めてることを知らなかった。




「そうなんだ」




お互い実家だったからなかなか2人でいる空間ってのがなかったから正直嬉しかった。





家も近くなるし。




「だから泊まりにきてね」




「うん!」




一見すると順調であった。




すこし、わたしも落ち着いたのだろうか。




きっと他で環境の変化が少しずつあったからだ。














久しぶりにサトシに会うことになった。




「さとしー!!!久しぶり!!!」




「ゆいかー元気にしてた?」




さとしは浪人生になった。3ヶ月アメリカにいたおばさんの家にいて最近帰ってきた。




「元気だよー!髪染めたねーさとし」



「思い切って金髪にしたよーしゅうへいも元気?」



「うん、元気にしてるよ」




さとしからアメリカのお土産話をきいて、わたしも大学の話や、アルバイトのはなしをした。




「お前らなら大丈夫だと思うけどさ・・・気をつけろよ」



「え?なにが?」




「環境の変化に人間って弱いんだよ。だから、ちょっとのことでもきっかけになったり、積み重なったりして爆発するんだ」




さとしの言葉が、つらい。





「まあ、でもきっとしゅうへいはいまでもゆいかのこと大好きだろうし---」




ほとんど頭の中に入ってこなかった。




さとしの言ってることがグサグサと私の胸に突き刺さった。









もうくずれはじめているのではないか?




気づいてはいたが、知らないふりをしていたのかもしれない。




わたしは周平から離れられなかった。













初めて、アルバイトの学生のひとたち全員とご飯たべいくことになった。




これも全部こうたくんのおかげだった。




こうたくんはどんどんアルバイトの学生の人達に話しかけてごはんにいったりしていた。





こうたくんとシフトが被った日には必ず夜ご飯を食べに行き、最初は2人だったがその日被ったひとたちとも一緒にごはんをたべにいくようになった。





「ゆいかちゃんって全然喋らなかったからまさかこんな子だとは」




そんな風によく言われた。



たった2ヶ月でこうたくんはみんなを取りまとめていた。




「あんな先輩今日記念日なんですか??」




あんな先輩、大学3年生で、お嬢様大学に通っていた。


 

「あーそういや今日で3年かも」




「えー!3年なんてすごすぎです」




「普通になっちゃってて全然すごくないよ」




あんな先輩は笑ってこたえた。




「あんな先輩は・・・彼氏が他の女の子と遊んでたらヤキモチとかやきますか?」



「ヤキモチかー・・・しょっちゅう彼氏はサークルの人とかと遊んでるけどわたしが1番大事なの伝わってくるからやかないかも!」




「なるほど・・・」





いまのわたしは周平にとって1番大事なのか?




わたしは周平が1番大事だった。




でも・・・向こうは・・・?




「ゆいか、今日オールしよ?」




「え?」




気がつくと終電間際であった。





「いいじゃんいいじゃん!みんなーーー今日カラオケオールしよう!!!」





「いいっすねー!俺もカラオケいきたいです!」





こうたくん、あんな先輩、大学2年生のあきら先輩、けん先輩、看護学生のなつこさんでオールすることになった。





初めてのオールだった。





それは、とても楽しい夜だった。

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