第21話大学生





「お友達、できた?」




「う・・・うん」




周平の大学はわたしの通っている大学と割と近かかった。




わたしの最寄駅をとおって家に帰るので、

よくそこであっていた。




「えまとかほっていう子と仲良くなったよ」




同じ中高だったのが由縁なのでいささか友達ができたといえるか疑問である。





えまちゃん、かほちゃんと呼んでいたのが2週間後にはえま、かほと呼んでいた。




ちらほらクラスの子達と話したりするようになったが、まだそこまで仲良くはない。




「意外と人見知りだもんなー。」




「周平もでしょ」




「俺も友達できたし」




「嘘つけ〜!」




「ま、嘘だけど」





周平のところはクラス制ではなかった。




たしかに友達作りは大変そうだ。




「ゆいかはサークルとか入らないの?」




「サークル?ああ・・・どうしよっかなって感じ。」




「俺さ、軽音サークル入ろうと思ってるんだよね」




入学式の日、ものすごい量のサークルのビラをもらった。




もらいすぎて、どこがいいのかもわからないし、サークルに対してそこまでいいイメージもなかった。




「軽音サークルとかたのしそうだね。でも可愛い女の子とかいても目移りしちゃだめだよ」




「えーっ!どうなんだろうー!」




周平がおどけたように言った。




「こらっ!」




「俺にはゆいかしかいません」




ぷっと笑う。




こんな時間が平和で楽しかった。
















5月になって私はアルバイトを始めた。



品出しとレジのアルバイトだった。



周平もサークルに入った。



お互い、少しずつ忙しくなっていった。




「荒木さん!」




今までアルバイトをしたことがない世間知らずの私にとってかなり苦行であった。



怒られてばかりいた。



同じ学生の子達が多かったが、人見知りを発揮して全く話せずにいた。




その日は周平と電話をしていた。




「おばさんにばっか怒られるんだよー!」




「ゆいかも容量悪いところあるんじゃないの?」




アルバイトをしたことのない周平に言われたのはとても腹がたった。



「アルバイトしてないのによく言えるね」



嫌味のつもりで言った。



愚痴をこぼす相手が欲しかった。うんうんと聞いてくれるだけでよかった。




「大学遠いから仕方ないだろ。アルバイトする時間なんてないよ」



大学生になったら速攻バイトするって言ってたくせに。



「そんなことより今日サークルの先輩がさー」








私の話はそんなこと。で終わるのか。



電話越しで声を押し殺しながら涙をながした。



こんなことは初めてだった。



その日私は永遠とサークルの話をきかされた。




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