第20話新生活

 



あっという間に卒業式がおわった。




中高6年間通っていたこの校舎には、明日からかようことはない。




毎日騒いでいたみんなとも一緒にいられなくなるという実感が湧かなかった。




みんなそれぞれの道へ進んでいくんだ。











私は女子大にすすむことになった。




みきは専門、まゆは共学の大学。




「はあ〜さみしい」




みきがぽつりと言った。




「すぐ集まれるよ、ちかいし」




「そういえばゆうきはどうなったの?」




「たしかまだ国立の試験がのこってるっていってたよ」




「へえ〜大変だなあ」




「てかまゆ、ちゃんと連絡とってるんだね!いいじゃんいいじゃん」




「あぁ・・・まあ・・・」




まゆが少し照れたような顔で答えた。




「・・・ん?」




わたしとみきは顔を見合わせた。




「え・・・・もしかして、付き合ってる?」




「いや・・・あのまだつきあってるわけじゃ・・・受験終わってから・・・みたいな」




「つまり・・・?」




まゆが大きく息を吸う。





「好きですって言われました」





「えーーー!!!!おめでとう!!!!!」





飛び上がった。こんなに嬉しいことはない。ずっとまゆが想い続けてたのを間近でみてきていたのだ。




「よーし!カラオケではしゃぐぞ〜!」




「いいねいいね〜!!!!」






卒業式の日、3人で夜まではしゃぎ倒した。




解散する間際すこしセンチメンタルな気持ちになり、またねといって家に帰った。




わたしの中高6年間、なんだか長く感じたな。




でも周平と付き合い始めたこの1年ぐらいはあっという間に過ぎ去った。
























女子大にすすんだ私の景色は、いままでとさほど変わらなかった。




強いて言えば、私服になり、化粧も普通にしていくようになったぐらいであった。




まゆもみきもいない・・・けれども、同じ学校だった子達が何人かいた。




「えっ」




大学のクラスを見てびっくりした。





高坂かほ・・・?




中学一年生の時同じクラスであった。それ以外はあまり話していなかったが。




まさか同じ学部で同じクラスだとは。




「ゆいか〜なんかちゃんと話すの久しぶりだね!よろしくね!」




「かほちゃんいてくれてよかったよ〜こちらこそよろしく!」




「そういえば同じ学部にえまもいるみたいだよ」




「えま・・・?長澤えま?」




長澤えま-学年1の美女と呼ばれていた。




他校の男子達が見にくるほどだった。




同じクラスになったことはなく、接点が全くなかった。




「えまと接点ないのか!意外だね」




「まゆとみきとばっかりいたからな〜」




ほぼ5年ぶりにはなすかほちゃんはとても話しやすかった。




「あ、えまだ!えまー!!!」




学食に向かう途中、えまちゃんを見かけたかほちゃんが叫んだ。




「かほー!!!」




えまちゃんが小走りで駆け寄ってきた。




私服姿をみたのは初めてだった。



とても可愛らしい、センスがある。




「いいなあー2人同じクラスで!うらやましい」




「いつでも遊びに来ていいよ」




「ありがとう!ゆいかちゃんといままで接点なかったからこれからよろしくね!」




「いやほんとに接点なかったよねー。よろしくね、えまちゃん」




えまちゃんがにっこり微笑んで、一緒にお昼を食べることになった。





たわいのない話をして居心地がいいことに気づいた。





はなしやすいなあ、2人とも。




もっと視野を広げて自分から声をかければよかった。





こうしてえまちゃんとかほちゃんと一緒にいるようになった。





この出会いが、今思うと私の今後の人生を大きくかえていった出来事なのかもしれない。





そう思ったのはしばらくあとの話である。



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