第18話受験
「かっこいいなあ〜大学って」
周平が校舎を見上げながらいった。
全く想像できない大学生の生活。
キャンパス内にいた学生たちはかなり大人びて見えた。
こんな大学生になれるのだろうか・・・
でも、もし周平と同じ大学にいけたら・・・
「いやあ、でもこの大学だったらめちゃくちゃ勉強しなきゃだなー」
「ゆうきがそんなんいったら俺どうすればいいんだよ」
頭のいいゆうきが頑張るレベルである。
「偏差値たかいよね〜。わたしも頑張らないとどこもダメかも」
「わたしもだ・・・」
正直、学校の勉強はそれなりにやってきていた。クラス分けでも1番上のクラスにいた。模試の成績もまあまあとれていた。
でもこの大学はレベルが違う。
「わたし、あの大学にいきたいな」
まゆとゆうきと別れた後、周平と喫茶店に入った。
「え?」
「唯一、興味ある学部があったの。今日説明きいて、ますます気になった」
「・・・そっか。」
周平が黙り込んだ。
あまり勉強していなかった周平にとって、プレッシャーになってしまっただろうか。
沈黙はしばらくつづいた。
「ゆいか、頑張って勉強しよう。」
真剣な瞳だった。
「俺も、頑張って勉強する。一緒の大学にいこう。」
「・・・」
「毎週日曜日、一緒に図書館で勉強しよう。」
「・・・うん」
純粋に嬉しかった。
一緒に頑張ってくれるんだ。
わたしと周平くんは毎週日曜日、勉強することになった。
朝は9時から、図書館が閉まる夕方5時まで。
毎週、毎週、一緒に勉強した。
成績が伸び悩んだ時も、志望校判定がEだったときも。
お互い慰めあって、励ましあっていた。
この受験勉強中、お互いの絆が深まった。
その時は心からそう思っていた。
「受験票ちゃんともった?迷わず行ける??」
玄関でお母さんが心配そうに声をかけてくる。
「大丈夫だから!いってきまーす!」
ついにこの日が来た。
今日が「本命」だった。
なるべく、普通に学校に向かうように、受験会場へと向かった。
平常心を保とうとおもったが、そういうわけにもいかない。
そんな私の心を察するかのように、周平からメールが来た。
Re:
ゆいかおはよー。
いつも通り、頑張ろー!
俺も受験頑張ってきます。
周平は別の大学の試験だった。
周平も頑張ってるんだから、わたしも頑張らないと。
受験会場になんなく着いて、自分の番号がかかれている席に座った。
ここにいるみんなも・・・たくさん勉強してきたんだろうな。
わたしも、負けるわけには行かない。
9時のチャイムが鳴った。
「始めてください」
一斉にページをめぐる音が聞こえた。
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