第7話RE:RE:RE:RE:RE:RE:RE:
午前中の補習の授業は正直全く頭に入っていなかった。
「荒木さん、じゃあここ訳して」
きっと身になっていないのを先生も感じ取ったのであろう。隣の席にいた斉藤さんがそっと教えてくれた。
勉強どころではない。周平くんのことで頭がいっぱいであった。
授業中こっそりと携帯を見た。
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13時に終わるからそっち向かうね!
たぶん13時半ぐらいには駅着くよー
あと2時間後には周平くんに会える。
そう思うと不思議と残りの時間に集中することができた。
---12時10分。
授業終了のチャイムが鳴った。
「ゆいかー!ごはんたべいく??」
「ごめん!わたし予定あるんだ」
「おけー!じゃあまた明後日ねー!」
とりあえず化粧をしよう。本当は指定のカーディガンあるけどUNIQLOのカーディガンに変えよう。
はやる気持ちを抑えて、駅前のファッションビルの化粧室へと駆け込んだ。
この時の私はかなり化粧をしていた。アイプチにつけまつげ。プリクラで盛ることだけを考えていた時代であった。
約束の13時半。ギリギリになってしまった。走って駆け込むと---3ヶ月ぶりに会う周平くんがいた。
「やっほー」
「こ・・・こんにちは」
なんともぎこちない挨拶。私はひどく緊張していた。
「顔忘れられてたらどうしようかと思った」
くしゃっと笑う周平くん。
忘れる訳がない。
隣町の映画館へと歩いて向かった。
新作のホラー映画を観にいく約束をしていた。
むかしからわたしは怖いテレビ番組が大好きであった。
そんなにこの時は映画に興味はなかったが、後の人生でわたしにとってものすごく影響を与える趣味となる。
3ヶ月ぶりに会っても、その間ずっとメールをしていても、話は尽きなかった。
あっという間に映画館にたどり着いた。
飲み物を買って席に座る。
ホラー映画を映画館で見るのは初めてだった。
映画中、やっぱり内容よりも周平くんが気になって仕方なかった。
怖いシーンで、袖を掴んでも平気だろうか。それはあざといと思われてしまうのだろうか。そもそも周平くんって女の子と2人で遊びに行ったことがあるのだろうか。彼女いたことあるのだろうか。
わからなかった。でもほんとにちょっとだけだったら触れてもいいかな?
さほど怖くもなかったシーンで、袖を5mmだけ掴ませてもらった。ほんの5秒だけ。周平くんからは何も反応がなかった。
その映画はあまり怖くなかった。でも、怖がる方が女子っぽいと少女漫画にかいてあったっけ。
まあ、見事に表現できず終わったのである。
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