第5話Re:Re:Re:Re:Re:
ケータイが鳴った。
見ると知らないメールアドレスだった。
Re:周平です。
ゆいかちゃん!翔英学園の周平です。
この間は文化祭来てくれてありがとう!
さとしからメールアドレスききました。
よかったら登録しといてね。
間宮周平
090-○◯○◯-××××
周平くんからメールが来た。しかも、メールアドレスを聞いてくれたんだと思うと自然と顔がにやけた。
わたしもすぐに返信をしたかったが、なんておくればいいかわからなかった。結局返事をかえしたのは一時間半後だった。
Re:Re:周平です。
さとしからきいたんだね!
こちらこそこの間はありがとう!楽しかったよ。
またバンドの話したいなー!
あまりにも普通すぎる文。こんなんでメールのやり取り続くかが不安だったけれど、意外にも周平くんはすぐに返してくれた。
それから毎日、メールのやりとりは続いた。
毎日お互いの学校の話をして、兄弟の話をして、バンドの話をしていた。
周平くんは、まだ部活を引退していないらしく、ほぼ毎日部活であった。
いつになったら遊べるんだろう。
気づけば文化祭から2ヶ月が経った。
すっかり年の瀬で、クリスマスもおわった12月28日。
さとしと会う事になった。
人々も忙しなく歩いている。
そんな中、私たちも横並びで歩いていた。
「どうよ、しゅうへい」
「いきなりだな」
挨拶して二言目がそれだった。
「いや、特には」
「しゅうへい忙しいもんなー部活で。あっ。」
さとしが思い出したかのように、突然立ち止まった。
「そういえば、ゆいかとしゅうへい、文化祭で会ったの2回目だよ」
「えっ?」
申し訳ないけどさかのぼっても記憶にない。誰かと勘違いしてるのかと思った。
「お前ら、会ったことがあるから。ほら、去年ライブいったろ?」
わたしが親に内緒でさとしと行ったライブ。
あの時----
「あっ」
そのライブがあったのもちょうど1年前の話であった。
さとしと行ったライブに「俺の友達2人もくるから、合流してご飯食べに行こう」と言われた。
ライブがおわったあと合流して、4人でマックに行った。
「・・・」
わたしも初めてのライブはそのすごさに圧倒されて少し疲れていた。
さとしがほとんどはなしていて、恐らく一言も交わさなかった。
なんなら、多分名前すら聞いてない。
顔なんて全く覚えていなかった。話した内容も、むしろ、さとしの友達と合流したことも覚えていなかった。
「なんか、不思議だな!縁だよ、縁」
さとしが笑った。一年前は顔も覚えていなかった人が、いまはとても気になっている。
正直、臭いセリフでいうと「運命」としか思えなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます