第3話Re:Re:Re:



どこを歩いていても声かけられる。



「ねえねえー!俺らのクラスきてよー!!」



この状況は満更でもなかった。普段女子校でこのような光景はありえない。ちやほやしてもらえるというのでかなり優越感を味わっていた。



「そろそろ体育館むかおっか」



体育館に入るとバンド目当ての女の子達でいっぱいだった。



ライブを見るのは2回目だった。中学3年の時にバンドにハマって、ライブにもいきたかったが、門限が厳しくて行くことができなかった。



高校1年の時、親に友達と勉強すると嘘をついて、さとしから誘われてライブに初めて行った。



ライブが始まるまえの緊張した雰囲気。暗くなり音が鳴ると待ちきれない歓声。たまらなくその雰囲気が好きだった。わたしは虜になってしまった。



14時まであともう少し、暗くなり歓声が聞こえてくる。もうすぐ始まる。わたしは少しだけ目を閉じた。



音ともにスポットライトがつく。歓声も上がる。鳴り出したギターもベースもドラムもかっこよかった。

さとしが初めてバンドをやってるところをみた。

いつもより輝いて見えた。




あっという間の30分だった。




「いやあバンドかっこよかったね!」



まゆもみきもうんうんと頷いた。



「ほんと佐野くんかっこよかった!」



「佐野くんしかみてなかったんかい」



さとしからメールが来た。



Re:




いまからみんなでゆうきのお化け屋敷いかない?



「さとしから、ゆうきのお化け屋敷いこうだって」



いこいこ〜となり、再度合流した。

そこにはさとしとお昼を共にしたバンドメンバーの3人もいた。



緊張が解けたのだろう、先程より柔らかい表情だった。



「おつかれー!めっちゃバンド良かったよ」



「ありがとうー!いやあ緊張した」



私たちの文化祭ではお化け屋敷がやりたくても出来なかった。文化祭でお化け屋敷ができるところは本当に憧れであった。



「ペアどうする??」 



「グーチョキパーでわかれればいいんじゃない??」



結果ペアはこうなった。

みきとさとし。まゆと佐野ちゃんとけんとくん。そしてわたしは




「よろしくね、ゆいかちゃん。」



しゅうへいくんだった。一見優しそうな顔をしているのに、身体はとてつもなく筋肉質である。



「なんでさとしとなのーー!!」



「俺のセリフだわ。」




さとしとみきがギャーギャー言いながら入っていった。意外にもみきはけろっとしながらもどってきた。一方さとしはげっそりとしている。



まゆ、佐野ちゃん、けんとくんも昼食時よりも打ち解けてもどってきた。



そして最後、わたしとしゅうへいくんだった。




「顔と身体あってないでしょー俺。空手部なんだ実は」



「え!そうなの??意外!」



1番女の子に慣れてなさそうなしゅうへいくんがかなりはなしかけてきたのでびっくりしたのを覚えている。



「このお化け・・・さてはゆうきだな!」



「おい!それ言っちゃだめなやつ!!!!」



しゅうへいくんは色んな話をしてくれた。

部活の話やさとしの話、勉強があまりすきじゃない話など。そして好きなバンドの話。




「わたしもそのバンドが1番好きだよー!」




こんな楽しかったお化け屋敷はこのあとの人生においても一度もないくらい、

私にとって忘れられないお化け屋敷となった。

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