白き鳥

忘れない ピアノ協奏曲 2番 第2楽章 ラフマニノフ

私はまたこの海へ

王子さま

お兄様

いえ

ルージェさま

どちらでしょうか

いずれにしても

また

来ました

海へ

ルージェさまへ

会いに

さあ

ざああ

ひゅう

どうか

波の音とともに

迎えにきてください

さあ

しゅわ　しゅわわ

ルージェさま

まだでしょうか

優しい風の音はまだでしょうか

優しい波の音は聞こえております

さあ

ざぶ　ざぶ　ざぶん

さああ

ザー

サーシャ

もう少しだ

誰も邪魔をするものはいない

あとは

サーシャをつつむだけだよ

さあ　しゅわ

どうか

優しく包み込んでくださいますでしょうか

ルージェさま

ひらり

しゅわ　しゅわ　しゅわ

少し遠くに美しい花が見える

あれは

サーシャではないか

優しい色の花

いつ見ても

私のこころは

サーシャに奪われているばかりではないか

もうすぐだ

君に会える

波の静かな音が聞こえてくる

もう足に波が打ち寄せているよ

優しい花が見えた

目の前に

ルージェさま

サーシャ

優しい音が届きました

お会いしたかったです

私もだ

浜辺を歩きましょう

さまよいましょう

わかった

約束してもらえますか

ああ

もうはなさないと

わかっている

それ以外に何を約束する

はい

そのとおりですね

サーシャをはなさない

本当ですか

君の音しか聞こえない

私もルージェさまの声しか聞こえません

もはや

波の音も

風の音も必要ありません

月のひかりも見えなくてもかまいません

ルージェさまの音で十分です

ピカ　ごろ　ごろ　ごろ

何も聞こえません

ザー

涙が頬に落ちて

大雨が降ろうとも

今は

ルージェさまのお顔しか

見えません

ひゅう

優しい音も聴こえません

ただ　ただ

ルージェさまの音だけです

海の向こうの虹も見えません

ルージェさまのお顔だけしか

見えません

私はルージェの透き通るような

瞳と白い肌しか

目に入らぬ

何が起きようともはなさないと

約束してくれました

そうですね

もう一度だけ言おう

ルージェをはなさない

ひゅう

さああ

ざぶ　ざぶ　しゅわ　しゅわ

ルージェさま

サーシャ

ルージェさま

サーシャ

ルージェさま

もうはなさないでください

サーシャ

ルージェさま

サーシャ

END

わあああ

パチパチパチパチパチパチ

コトコトコト

わあああ

ライレーゼ