第4話

「お兄ちゃん♡ ダンジョン行こーよ。」


 ダンジョン。古い遺跡などに魔素が溜まり迷宮と化したもの。時折、地上に強力なモンスターが生まれることがあり、強い魔素を放つ彼らが住む場所はやがて異界、すなわちダンジョンとなる。そこには魔素によって生じたモンスターや宝が眠っており、それを収穫するために冒険者たちが集まってくる。


 わかった。それなら最近できた廃協会の跡地に行こう。


「わーい♡ きっと新鮮なお宝がいっぱいだね!」


 ★


「ここが廃協会かぁ♡ なんだか怖いね~。」


 神聖さの欠片も感じないな。


「まあ私たち聖域って苦手だしねー。それより抱っこー♡ お兄ちゃん♡」


 はいはい。


 俺はあずさを抱きしめる。首筋に顔を埋めたあずさが大きく口を開いてかぶりつく。鈍い痛み。体から血が抜けてゆく。だが不快感は無く、甘い痺れが体を駆け抜ける。


「ぷはぁ♡」


 顔を上げたあずさの頬は紅潮していた。俺から離れたあずさは体を抱きしめてうずくまる。


「んっ♡ ああっ♡」


 あずさの身体が変化する。身長が伸びて、胸も尻も大きくなってゆく。身体の変化に合わせて、あずさの影で出来た服も形を変える。


「はぁ、はぁ♡ やっぱりお兄ちゃんの血は最ッ高だね!」


 あずさはあどけない美少女から妖艶な美女へと変身していた。背中の大きく開いた黒いゴシックドレスがあずさの色気を際立たせる。煽情的な身体に無邪気な笑顔を張り付けたあずさはスキップしながら俺の手を引いて意気揚々とダンジョンへと入っていった。

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