4弦の傷心


 ふぅ。ようやく張り替え完了、ですです!アレ、レ? ちょっとキツいですかねぇ。もうちょい緩めてもらえると……あんまり強く張るとシンドイんですよね。ほら僕ってぇ、巻弦としては芯が細めなんでぇ。ああ、そうそう。それぐらいでぇー……うん、ありがと。

 お…っと。思ったより大きい音出ちゃった。久々の張り替えだったんでぇ、感覚忘れかけてました。えへ。でもやっぱいいですねぇ、張りたては。音がキラキラしてるもの。

 お、5弦がいつにも増して張り切ってますねぇ。うるさ……いえ、なんでもないでぇーす! ね、3弦ちゃん。え、聞いてなかったの? あ、まだ張り替え中か……にしてもさ、いいねぇ、あんたはいつもボーッとしててさ。チョーキングでぐい〜ってされても、わりと平気な顔してるもんねぇ。よく2弦に押されてるじゃん。ぐい〜って。

 2弦の方が大変だから、って? それもおかしな話じゃない? だってチョーキングで実際に音出すのって、ほとんどの場合が1弦なわけじゃん。なのになんで一緒くたにさ、しょっちゅうぐい〜ってされなきゃいけないわけぇ? ま、僕はちょびっとしかぐい〜ってされないけど。

 怒りすぎ? なぁんでぇー? 僕、自分が音出す時以外はぁ、無駄に触られたくないんでー。だって僕、中の芯、ほっそいほっそいもん。ぐるぐる巻いてあるから、外からはわかんないかもしれないけどさぁ。デリケートなわけ。


 大体うちのマスターって、チョーキング多用しすぎじゃない? まぁ、かっこいいのはわかるけどぉ。そんなに頻繁にぎゅいんぎゅいんやらなくてもぉ……アレ、レ? なにその感じ。僕べつに、ひがんでるとかじゃないんでぇ。マジでぇ!!



 ………やっぱりそうなんですね。地味ですもんね、4弦って。目立たないですもんね。なんか場所も真ん中へんでぇ、わかりづらいですもんね……知ってます。みんな最初は、「6・5・4…」って上から探すんですよ、を……タブ譜とか見てもね、「3なのか4なのか、わかりづれえ!」って言われるんですよ。でも、そう言ってる人も3弦のことは、すぐわかるんです。わかりづらいのは4弦だけなんです、何故か。そうやっていらいらした初心者が、みんなギター辞めてくんです。慣れれば指が勝手に憶えるんですけどねぇ。そこまで保たずに辞めちゃうんでぇ……… 

 指は5本しか無いのに、なんで弦が6本もあるんだ! って怒られたこともありますよ。八つ当たりですよね、完全に。なんで僕が……やっぱ、真ん中へんにあるからですかねぇ。F呼ばわりとかも、たまにされますしね……「小指がつる」とか、僕に言われてもね………

 平気です。もう慣れてるんで。4弦って、4弦って……所詮そういう存在なんでぇ〜(涙)


……大丈夫です。泣いてないです。え、待って。もう一回言って? 程よい落ち着きと優しいセクシーさ? 特に指弾きのアルペジオのとき? 僕が? そ、そうかなあ。そういうのって、自分じゃわかんないんでぇ………(デ〜レデレ)




♪ 弦のお話が続きましたので、次回はちょっと小休止。ギター関連のこぼれ話をちょこっとお送り致します。その次からは3〜1弦さんにまたお話を聞いて参ります。その後は……他のパーツにも語ってもらいましょう ♪


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