第4話 井戸を覗いたら


「ごめんねぇ、将大。私、嘘ついちゃった。井戸を覗いたら死に顔じゃなくて、死んじゃうんだって。」


「慶子…お前.........?」


瞳を震わせる将大は、慶子を見つめた。


「あっ…でも、落ちる時、水面に自分の顔が見えるから、死に顔が見えるっていうのも嘘じゃないか。」


貴之も笑いながら、そう言った。


そして.........


「将大、安心しろ。お前が寂しくないように、先に女を落としてるから。」


と言った。


「お、お前達.........!」


手の力が尽き、将大は、声を上げながら、井戸の底へと落ちていった。


「これで、誰にも邪魔されず、付き合えるな。」


そう言って唇の端を上げて笑う貴之の方を慶子は、震える瞳で見つめている。


井戸に背を向けたように立っていた貴之は、慶子の様子に眉を寄せる。


「何だよ、どうしたんだ?」


そう言って、慶子の方に近付こうとした貴之は、シャツの裾をグッと掴まれ、そちらを見た。

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