第4話 井戸を覗いたら


井戸の中から、白い細い腕が伸び、貴之のシャツを掴んでいる。


「な、何だよ!これ…!慶子…!」


慶子に手を伸ばし、助けを求めるが慶子は、その場で動けず、ガタガタと震えている。


ズズズと音が響き、井戸の中から、濡れた長い髪をした女の顔が現れる。


「貴之.........一緒に行こう。」


女は、呟き、貴之のシャツをグイグイと引っ張る。


「や、やめろ!は、離せ!」


そう叫びながら、貴之は、ガッと慶子の肩を掴む。


「いやっ!離して!」


叫び慶子は、身をよじったが貴之の力は強く、一緒にグイグイと井戸に引っ張られる。


「た、助けてくれ!」


「いやぁー!」


ヒュンと二人の身体が井戸に消えていった。


辺りは、シーンと静まり返り、元の暗闇が広がっていた。

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