第4話 井戸を覗いたら


どのくらい歩いたか、古い寺の前に来ていた。


「ここにある井戸を覗いたら、自分の死に顔が見えるらしいの。」


慶子は、そういうと寺の中に入る。


貴之と女も後に続く。


寺には、墓はあるがかなり荒れている。


もう何年も掃除されていない墓がズラリと並んでいる。


「気持ち悪いな、おい。」


小さな震える声で言った将大に、慶子は、クスクスと笑う。


「この井戸よ。」


寺の奥にある草の茂った場所に、井戸は、ポツンとあった。


井戸には、蓋が閉められ、もう使われていないようだ。


慶子と貴之は、井戸の重い蓋をよいしょよいしょと開ける。


「将大、覗いてみなよ。」


「えっ…お前らが先に覗けよ。」


井戸から少し離れた場所で言う将大に、慶子は、腕を組み息をつく。


「怖いの?だらしない。」


慶子は、懐中電灯を照らしながら、井戸の中を覗く。


「きゃっ!」


悲鳴を上げた慶子に、将大は、ドキッとなる。

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