第1話 雨の訪問者


その日は、朝から雨が降っていた。


朝は、小雨程度だったが夕方から本降りになり、かなりの勢いで雨が降っていた。


いつものように、車で仕事から帰ってきた秋彦が車庫に車を入れ、エンジンを止めたのが夜の8時を過ぎていた。


車庫には、屋根があり玄関まで続いていたので、雨に濡れることはなかったが激しく降り続ける雨に、秋彦は、小さく舌打ちをする。


キーケースに下げた玄関の鍵を差し込み、ドアを開けた秋彦は、中に入ると鍵とチェーンをかけ、靴を脱ぎ、奥へと向かう。


玄関の右側にある部屋がリビングになっており、そこへ向かうと、パチンと明かりをつけ、秋彦は、カバンをソファに投げやり、ドカッと疲れたように、腰掛けた。


一息つき、一服をすると、さて、風呂にでも入って、ゆっくりするかと、秋彦が立ち上がった時、インターフォンが鳴った。


柱にかけた時計を見ると、9時になろうかとしていた。


こんな時間に、誰だろう?


ここは、街から離れていて、人は、ほとんど訪れて来ない。


友人との約束もしていない。


秋彦は、眉を寄せると、玄関へ向かう。

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