怪談日誌

こた神さま

第1話 雨の訪問者


街から少し離れた静かな場所に建つ、1軒の白い家がある。


都会で独り暮らしをしていたが経済的、人間関係等で疲れてしまった秋彦がここに引越ししてきたのは、3日前。


その家は、築何年も経っていないだろうに、格安の値段で売りに出されていた。


真っ白な外壁に赤い屋根の家。


平屋だったが一人で暮らすには、十分な広さだった。


経済的な問題も確かにあったが人間関係の悩みの方が大きく、都会で暮らす人間の冷たさに、嫌気がさしたと言った方が強かった。


仕事は、すぐに変わるわけにもいかず、少し遠くになってしまったが車を持っている彼には、さほど苦にはならず、とにかく、その家を見た秋彦は、一目惚れしてしまったのだ。


家に一目惚れというのも、おかしな話だが。


まるで、呼ばれるように、その家を見つけ、そして、即買いしてしまった。


いずれは一軒屋に住みたいと思っていた秋彦は、少し無理をして貯金のほとんどを使う感じで、そこを買ったのだった。

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