迷子

朝起きたら知らない街にいた。

異世界転生したわけじゃない。

昨日飲みすぎたわけでもない。

ただいつも通り自分のベッドで眠りについたのに、起きたら知らない街にいたのだ。

知らないと言っても、なんとなく懐かしい気持ちになる。

都会でも田舎でもない、どこにでもありそうな住宅地の中の公園で目が覚めた。

何故ベンチで寝ていたのか、何故こんなところにいるのか、全く覚えていない。

覚えていないというより、身に覚えがない。

ーどうするどうするー

考えたところで答えは出なかった。

仕方なく歩いてみることにした。

公園からも見えた通り、普通の住宅地だった。

だが人はほとんど見当たらなかった。

ー早朝なのかー

場所も時間も分からないまま、気の向くままに歩いてみた。

すると朝日が登ってきたのか、明るい光が体を包んでいった。

綺麗だと思った。心地よいと思った。


目が覚めたらいつもの部屋にいた。

どうやら夢を見ていたらしい。

ベッドから出て着替えをする。

朝食の支度をしながら思った。

またあの夢の中に行きたいと。

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