6:ケジメと締め
ザ・キング・オブ・
それが今、再結成した俺達の前に立ち塞がった、最初の試練。
もとい、シーク特製お菓子の城である。
見た目はもう、
実際、
最後の仕上げでグロい、ドス黒いデザインになった
その名前通り、味は十中八九、
本来なら
というのも……この巨大な城に、これまでの
そうじゃなくても、シーク
ひょっとしたら、苦味だけじゃなく、糖度もアレかもしれない。
これ、普通の人間が食べたら、間違いなく糖尿病一直線だ。
いや、そもそもこれを食べ切るとか、豪華ホテルに止まった嵐を呼ぶ園児がカード・キーを使っても
いや、もう、マジでスケール、存在感からして違う。
シークの気遣いにより、その隣には、口直し用のスイーツリーなる物まで建造されている。
いや、あの……
この、天国へのカウントダウンが聴こえて来そうな状況はよぉ!
裏切り者の処刑台にでもしようってのか!?
「……
別に、
シリアスのスイッチを入れたからか、
普段の怠惰も手伝い、
実際には、俺を
事実、その通りだ。
俺はこの6年間、一度も
それどころか、その存在、あまつさえ名前すら
はっきり言って、俺自体とは何ら関係ない。
けど。
「無関係じゃねぇよ。
誰が作ったかは知らねぇし、そもそも興味も湧かねぇけど。
死神の手で
だったら、死神である俺にも、責任の一端は有る。
それに……あのままじゃ、浮かばれねぇだろ。
「ふーん……。
「そりゃ、プロデューサー兼シナリオ・ライターが鬼だからなぁ。
と……冗談はさておいてだ。
心の準備は
「はいはい」
「
互いにスプーンとフォークを構え、頷き合い、俺達は実食を開始する。
が。
「「「〜っ!?」」」
俺は床を転げ回り、
普段から甘い物を嗜んでいる、一日の長が
……
そこは、まぁ、女子力の勝利という所なのかもしれない。
控え目に言って、最悪の殺人兵器だ。
苦さだけじゃなく、酸っぱいし辛いし痛いし熱いし、
おまけに、ゴリゴリとパサパサとヌメヌメが同時に口内を攻撃して来る。
見た目とのギャップが、ヤバ
人間でもないのに、体内で悪玉菌みたいなのが決起集会してる
それ
そもそも、食感まで変える
これで糖度マックスとか、嘘だろ、おい。
完全に、飲み込まれてんじゃねぇか。
何はともあれ、だ。
俺はさておき、甘党の二人がここまでのリアクションとは。
これ、ともすれば元
肉体もそうだが、精神的にもしんどい。
いや、もう、マジで
ロシアンが可愛く見えるレベルで辛いんだけど。
魔法でさえ直りが遅くなる苦味って、
「二人共ぉ……。
無事かぁ……」
「か……
「もう……もう、
こんなの、スイーツじゃなーい……」
普段は必要最低限にしか、もしくは趣味の話やヘイト
それだけ、悪い意味で衝撃的だったって
となれば……もう、残る手段は限られる。
「
お前、洋菓子が好きだったよな……?
お前は、クリームとかチョコとか、コーヒーとか、そこら辺を攻めろ……」
「……りょ〜……」
「
そっちを頼む……」
「……
「和菓子だ……。
お
言い出したのは俺だ……。
これ
「分かった……お願い……」
そう……これは
スイーツなんて呼びたくない
これ、ブッキ◯とマルガリー◯用に、ニセコ◯の小◯が作ったウエディングケーキなんじゃねぇの……。
何それ、最高にミスマッチ……。
こんなの、さしものトリ◯でも食べたがらねぇよ……。
と、散々な食レポをしているが。
弱音を吐いてはいるが、実際に食べかけを吐いたりはしていない。
つまり……
正直、もう逃げたい。
魔法で、一気に
でも、それでも俺達は、食して倒さなきゃならない。
乗り越えなきゃならない。
じゃなきゃ、世界を救うなんて、夢のまた夢だから。
何より……こんなゲテモノでも、命の証である以上。
誠意を
それも、死神としての仕事だ。
落としたフォークとナイフを拾い、俺達は構える。
そして。
「
この世から……一ピース残らずぅっ!! 」
などと気合を入れ、担当分野別に、
気持ちだけでも女子になりたがったのか。
自分のテーブルにサーブされるや
次いで
気合十分だな。
これ、普通の人間が食べたら、マジでヤバい奴じゃん。
「くっ……!」
負けてられるか。
俺も目の前の和菓子と向き合う。
これ以上、改善の仕様がないので、我武者羅に食べるしか
せめて覚悟だけは、二人にも劣らないレベルまで持って行こう。
互いに
誰からともなく瞳を閉じ、やがてフォークとナイフ、覚悟を武器に、実食を開始する。
その後、熾烈な戦いの
俺達は丸一日かけて、スイーツインタワーを
そして、そのまま丸一日、揃って気絶していた。
生きてるって、命って、素晴らしい。
そのありがたみを改めて実感していた、俺達の気持ちは、恐らく一つだ。
ますます、
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