4:命王として、死神として
「さて。
特に、
お前には
「い、いえ、そんなっ!
シークさん、じゃなくて、
そんなやり取りから始まった、シークによる種明かし。
俺達は、それを聞いていた。
王の御前にも
「改めて見るとまぁ、
「で? 真相は、どういう
あの女は、
「そうだ。
……よもや、あそこまで下劣な存在に成り果てようとは。
「あのぉ……。
「簡単だ。
俺は『上に立つ』のではなく、『
それに俺には、
となれば、気楽に接せられ相談にも乗れる、あの立ち位置、そして場所が最適、必要だったのだ」
「それは、まぁ……。
確かに、王様っていうよりかは、お話し易かったですけどぉ……。
うー……」
人差し指をツンツンさせ、目線を反らし、顔を赤く染め、モジモジする
やれやれといった顔で、ジト
「君、相当シークに入れ込んでたもんね。
シルベニア・ファミリーで断トツで、『
友人や家族と一緒に。
どんだけ赤裸々トークしてたのやら」
「だ、だって!!
こんな風になるだなんて、思わないじゃないですかっ!!
てか、
「話を戻すぞ」
いつものムードに脱線しつつあったので、シークが軌道修正、閑話休題させた。
「今回の件、お前達には
本音を言えば、死んで侘びたい所だが……。
俺が消えると、お前達は
そうなれば、
それも、
これは俺にとっても不本意だ。
喜ばしい事態ではない」
「いやいやいや!
別に、そこまで求めてないですって!
助けてくれただけで、もう、充分ですっ!」
「そうか?
そう言ってくれると、助かる。
ありがとう」
クールな表情から一転、笑顔を見せるシーク。
それを見て、不覚にもドキッとする
その横で、「相変わらずの、キラーっ
「さて……本題に入ろう。
今回の件を
これからは正式に俺が、
そして、『
異論が有るのなら、甘んじて受け入れたいのだが。
どうだろうか?」
「まぁ、その方が妥当だよね。
異議無し」
「わ、私もっ!」
二人が答えた
俺は無言で、肯定の意を示した。
「では、これより俺が、新たに
改めて、
「あーい」
「こ、こちらこそっ!」
二人に合わせ、俺も
「さて……となれば。
次に確認すべきは、お前達の今後についてだ」
「今後……ですか?」
「ああ。
単刀直入に聞こう。
お前達はまだ、死神を続けたいか?
或いは、記憶の有無はさておき人間、
「「……」」
先程から黙秘を決め込んでいる俺とは違う理由で、二人が押し黙った。
「それは……どういう意味ですか?」
「『死神を続けていたら、
……そういう事でしょ?」
「ああ。
その通りだ、
「あの女が言っていただろう?
実際に、ああいった凶行に走る人間は
もしこれから、そんな連中が
お前達は対応出来るか?」
「そ……それ、は……」
答えに困り、
やがて最適解を見付けたのか、明るい表情で語る。
「そうだ!
だったらいっそ、シークさんの魔法で、今
「それでは、駄目だ。
根本的な解決には至らない」
「そんな……どうしてですか!?」
「あの女が良い例だ。
あれでも、定期的にメンテ、微調整を施していた。
結果は、どうだ。
「うっ……」
理詰めされ、静空は落胆する。
「人間も死神も、完璧に人格や記憶を操るのは困難だ。
いや……最早、不可能と言っても過言ではないかもしれん。
どんなに記憶を
絶対悪という
更に言えば、そんな風に世界を変えれば、人間は大なり小なり、平和呆けしてしまう。
「逆に言えば、何世代にも渡って前から良心を呼び起こし、植え付け、育てれば、いずれ悪人を根絶やしに出来るかもしれない。
人間達の
……でしょ?」
先に
「話が早いな、
その通りだ。
現実問題、今の人間社会には、不平不満が
一部の人間が強欲
あの子達を両親が手放したのは、あの女に精神操作を受けたからではない。
金で、買収されたからだ。
そんな
「現に日本でも、ダーク・ファンタジーが流行してるし、必殺仕事◯も
これは、つまり、『それ
「そう。
だからこそ俺達が、
遠い未来、いつか、きっと、実を結ぶ
「それだけじゃない。
こっちが、人間達を
「そんな……そんな
「もし今回の犯人が、あの女ではなく、正真正銘の人間だったら?
例の、大量食人鬼とかだったら?
そしたら、もう、
和解や理解なんて、
手段を選ばず、早急に殺すしか無い」
「〜っ!!」
言い返そうとして、でも根拠に乏しくて、
それでも断念は
が、俺が何も答えないので、仕方なく
その頃合いを見て、シークは
鈍く濁った輝きを放つ
そんな貯蔵庫の、映像だ。
「これまで俺達の生み出して来た、『
悪人共の心、人生その物だ。
これを作ったという
言うまでも
が……
口元を抑え、
俺もまた、この残酷な現実を
それでも、シークは話を続ける。
「何も、
ゆっくり、考えてくれ。
死神を続けるか、人間に生まれ変わるか。
これから自分はどうすべきか。
自分は、何をしたいのか、何になりたいのか。
ただ、もし死神として生きる道を選んでも、これだけは忘れないで欲しい。
死神になった以上は、遅かれ早かれ、
「……」
頷きもしないまま、シーク、そして二人に背を向け、少し歩いてから。
俺は、無言でワープした。
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