5(静空side):最初で最後の大喧嘩
「はー……やっぱり、自分の時代、ありのままの姿が
二年前から自宅に戻って来た
季節感ゼロだなぁ。一応、春なんだけどな、今。
美味しいから、いっか。
「俺は、お前に、大分アレなキャラやら衣装やら押し付けられたけどな……」
どうやら、蜜柑を食べる気力さえ
無理を強いた自覚はあるので、お詫びに私は、彼に蜜柑を食べさせる。
「にしても
炬燵の中から声がした。
どうやら、
「そもそも、精神医学と心理学は、似て非なる物。
作り込みが甘い。
死神の謎パワーを、最適かつ
「……妙に詳しいんですね、
思わぬ方向から
「そりゃそうだ。
こいつ、これでも大卒だし、前世は売れっ子の物書きだった、
「今も超絶人気だ。
二度と間違うな、ど三流」
「おまっ……見えない位置から噛むなっ!?」
「そうだったんですね。
今度、私にも読ませてくださいね?」
「今度と言わず、今読め」
「お前、俺と
「相手との関係性、親和性、親密度によってのキャラ変なんて、大人にとって必須項目だろ」
今日も今日とて、ぎゃいぎゃい騒ぐ二人。
私から言わせれば、二人も充分、仲良しだと思うけどなぁ。
「それにしても、
妙に引っ掛かる言い回しで、
珍しく興味を持ってくれたみたいなのが
「名字は、私が考えました。
こう……。
私とは正反対! 赤!
けれど、空要素は
みたいな感じで」
「君のネーミングは分かり
ところで、ケーゴ。
これ、『
「トモハ?」
確かに、
それが、どうしたというのだろうか。
「しっ、
他に思い付かなかったんだよっ!
コピペした
「ま、別にー、どーでも
「じゃあ、噛み付くな!」
……やっぱり、仲良しじゃん。
この、二人だけの秘密感。
私ももっと、
などと思っていると、不意にスマホが通知を知らせた。
「どうした?」
残念がっていたのが取られたのか、
私は、手を横に振って、即座に笑顔を貼り付け、取り繕う。
「
今日、一緒に遊びに行けなくて、ごめんって」
そう。
けど、
別に、それに対しては、そこまで怒ってない。
「せめて前日に教えて
「全員がブッキングって、有り得る?」
「一人位、空いてたりしない?」
などとは思うけど。
でも、やっぱり残念ではある。
行きたかったしなぁ。
明日からまた学校だし、
あ。だったら、タイムリープして、遊びに行けば
あーでも結局、予定が
せめて、三人がフリーならなぁ……。
……あ。そうだ。
「ところで、
「お、おう、
炬燵に隠れた
私は、思い切って、彼に告げる。
「明日、私と……デート、してくれませんか?」
※
「なぁ。
「はい。
明日とは言っても、タイムリープして
高校生が出歩いてても、問題は
「そうじゃなくってよぉ。
いや、それも
デート相手が、俺で
二人で(魔法で用意した貸し切りの)カラオケに入った
こういう所を見ると、生まれて間も無いというのが、良く分かる。
まぁ私も、余命は
と、それはさておき。
そういう、煮え切らない態度を出されると、
「
昨日、『私の彼氏になる』って、約束してくれたのに」
「あ、あれはもう済んだだろ!?」
「別に私、『
「続行とも言ってねぇけど!?」
「もぉ!」
罰として、ちょっと懲らしめちゃお。
「
あなたは今、私の彼氏です。
だったら、私を楽しませなくてもいいので、せめて私と一緒に楽しんでください」
「……
てか、どうすりゃ
……
早く
あーあ……この前は、
「
「あー……ここが、カラオケって場所なのか。
分からんかったわ」
あ、そっか。
そもそも、カラオケ来た
「……初めてだったんですか?」
「まぁなー。
そっか。
知らなくて、当然か。
……うん。考えてみれば、当たり前だよね。
だって
過去で(恋人っぽい従兄弟に偽装した)私とショッピングに行った時みたいに、私がリードしなきゃいけないんだ。
「すみません。失言でした。
認識を、改めます」
「
俺が疎いのが悪いんだから」
配慮が至らない私を、
だったら……私も目一杯、
それが、彼に対する罪滅ぼし、謝罪だ。
「早速、歌いましょう!
汚名返上とばかりに尋ねると、
「
別に、気ぃ遣ってくれなくったって。
俺、歌った
……
ちょっと、採点に困る。
私の好きにして
偏見かもだけど、こういう場では、男子はアイドルとかばかり歌わせようとするイメージが
好きでも得意でもないのに、喜ばせたい
空気読んで、
そういう忖度、接待をしなくて済むのは正直、助かる(
でも。
「……
一つ……ううん。
二つ、
「お、おう。
んで、どした?
デンモクを操作しようとしていた私は、
「
私は別に、
他の異性には
そもそも、他の
「次に、二つ目。
確かに、行き先を告げず、私の未練解消メインで、未知の場所に連れて来てしまったのは、申し
でも、だからといって、盛り上がってくれないのは、ちょっとナンセンスです。
歌えなくても
だからこそ、私は
……ご理解、頂けましたか?」
「お、おう……。
すまなんだ……。
っても、あれだぞ?
俺、歌自体、
「だったら、その中で私も知ってそうなのを、折衷案としてチョイスすれば
それでも
「……『その時は』?」
「私の持ち歌で、趣味と種族、文化の垣根を飛び越えて、
「お前、強くない……?」
それはそうだよ。
だって、
女っていうのは、古来から、そういう、気丈な人種なのだ。
特に。
「……無敵にだって、なってみせますよ。
好きな相手が、目の前で、私を見てくれているのなら」
ボソッと、
きっと、
どうして私が、過去の世界に飛んでいたのか。
確かに、過去の私に、恋に近い経験を積ませたかったのも
それ以上に、未来で
だって、そうてじょ?
過去なり未来なりで恋する相手じゃなきゃ、初対面から裸なんて見せたくない。
ま、こんな恥ずかしい
「……
どうかしたか?」
決意を新たにしている私に、
私は、慣れた
「いえ。
それより、思い浮かびましたか?
私達の、共通項」
「……それなんだがなぁ。
一つ、心当たりは
目線を逸らさ、爪で頬を掻く
器の
「
「……ラブライ○とか、どう?
これなら、
……
天然なのが余計、
ラブライ○……ラブライ○かぁ。
名作なのも含めて、知ってる。
でも、アイドルかぁ……引いたりはしてないけど、ちょっと
でも、あれだよね。
きっと
可愛いとは思ってても、一部の過激な人達みたいに、必要以上に絡ませたり、過度に露出させたり、そういう目的では見てないんだよね?
だったら、まぁ……
私も、純粋な意味で好きだし。
「決まりですね。
推しは
「……桜○さんとか、
……
まぁ確かに、分かり
やっぱり男の人って、ああいう、奥ゆかしいのが好きなんだよね。
確実に、名前の読みが同じだからではないし。
でも、まぁ。
私も好きだし、
……待てよ?
「
ちょっと、目を閉じてて
「え?
お、おう……」
言われた通りにする
「お、おわっ!?
な、
思った通り、性懲りも
こうして見ると、
「約束を破った罰です。
べーっだ」
あっかんべーをして、
少し
「
もう、大丈夫ですよ」
うわー、
いつもより、お淑やかになってるー。
こういう
一般的なカラオケじゃあ、こうは行かないもんね。
「え……し、しずく?
ど、どっちの!?」
バンダナが無くなり、元に戻った
その
「……別に、目ぇ瞑らなくても良かったんじゃね?
一瞬で切り替わるんだし」
「気持ち的な問題です」
確かに、着替えたりするのとは少し違うけど、やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしいし。
……あと、やっぱり華麗に
でも、誰かに見られたくはないし。
「それより。
早速ですが、聞いてください」
「お、おう」
ソファで正座する
と、こんな調子で、私は心ゆくまで、
余談だが、魔法で歌唱力を上げたりはしなかった。
代わりに、喉を痛めない
これ
※
これで、
「きゃ〜♪
どうしよ、どうしよ、どうしよ〜♪
次は
ベッドでゴロゴロ転がり、
もしかしなくても、俗に言う、恋に恋するって状態?
まぁ、それなら、それで。
そのタイミングで、私のスマホに、通知が入る。
そういえば昨日(正確には今日)も、この
まぁ、
そろそろ、和解すべきだよね。
と思った、矢先。
「あんさ……すっごいバカなの、承知で聞くけどさ。
もしかして、静空……。
……死神と、何かあった?」
今度ばかりは、
そんな、
これだ、と思った。
※
「
けど、そこには
移転とかじゃなく、最初から更地みたいだった」
翌日。
四人が、揃いも揃って学校をサボり、私の部屋で顔を突き合わせ、事実確認をしていた。
「気になって調べてみたらさ……最近、そういう噂が流れてるらしくって。
死神と契約しただとか、死神関係者しか入れない喫茶店とか。
そういう、信憑性の
壁に預けていた背中を離し、自分の足で立ち、
「……不審な共通点が多過ぎるんだよ。
だって、おかしいだろ?
十八年かけても治せなかった母親さんの体が、たった一日で
医療、医学の進歩ったって、そこまで顕著なのは有り得ない。
それに、『
「……それ、は……」
……誤算だった。
まさか、そこからバレるなんて。
もっと、ちゃんとしとくべきだった。
少しでも、私のストレスを軽減しようと。
「……
あんた……もう二年も前から、その
そんな前から、死ぬの決めてて、そんで……。
そんな大事な
どうせ
自分が死んで、
……所詮、その程度だったってのかよっ!!
あんたにとっての、
「
言葉を発せずに
初めてだった。
十五年も前から一緒に
「……気持ちは分かる。
でも、先走り
私達が今、最優先すべきは、私達の怒りを、有り体に
昨日、三人で、ちゃんと話し合ったじゃない。
程度、経緯、理由は違えども、嘘を
「……っ!!
あぁ、
激情を剥き出しにし、
私ではなく自分の顔を、思いっ切り殴った。
「ち、
オドオドしつつ、体勢を崩した
彼女が
「……サンキュ、
それと、
悪かった。つい、カッとなっちまった。
あんたがそういうんじゃないのは、熟知してるってのにさ」
「……ううん。
全部、私の
「決め付けんな。
あんたがそこまで思い詰めてるの見抜いてて、傍観者気取りで放任主義、見て見ぬ振り貫いて、あんたを死なせちまいかけた、忘れかけちまった、こっちにも落ち度は
でも、安心しろ。
今ので、
こっからは、あんたの話、ちゃんと聞くから。
ただ、どーしても勘弁ならん時は、横槍入れっけどな。
十五年仕込みの大親友、舐めんなや」
「にしたって、やり過ぎよ。
あーあ……こんなに、赤くなっちゃって。
跡、残らなきゃ
「気にすんな。
友情の証だ」
「またそうやって、
ハラハラさせられる身にもなって
「あ、あの……」
「……
「……
どっちも、暴走した
それより、そろそろ本題だ。
今まで黙ってた、騙してた分、たっぷり釈明して
体勢を整え、拳をバキバキと鳴らし、ドカッとお父さん座りをする
それ、どっちかってーと、臨戦態勢……
すっごい
「ところで、今の……」
「そうね、
どう見ても、人間技じゃない。
時に、
「……契約した。
死神と。
私は、あと十ヶ月で、この世を去る。
お母さんの健康な体……私の妹、弟。本当の、パパとママの、代償として」
……案の
思っていた以上に落ち着いていて、助かる反面、申し訳なく思った。
昨日のみならず、自分は今まで、どれだけ
「……
母親さんの体も治って、
「……難しいと思う。
その無茶を通す場合、私が相手取るのは、死神だから。
それに、私の担当者が、
一万通りもシミュレーションさせて、一万回、目の前で私を死なさせてしまった。
これ以上、辛い思いはさせたくない」
「マジかよ、それ……」
他の二人も、少なからず衝撃を受けている。
当然だろう。
こんなの、普通は
「……死んだら……。
……
目線を合わせられないまま、
私は、
「……死神になる。
「そんな……」
この時だけ顔を上げ、
彼女を苦しめる原因である私が、
「ご家族には、どう話を、折り合いを付けているの?
まさか、秘密にしてるんじゃないわよね?」
「……ちょっと揉めたけど、最終的には納得してくれた。
家族が増えるのを見届けたら、
家族でも人間でもなくなった以上、もうあそこに居場所は
「……そこまで徹底する必要、
死神になろうと生まれ変わろうと、また……まだ、
どんな形だろうと、またさっ」
空元気なのが一目瞭然な
「……私は、自分の命と体、心を捨てた、卑怯者。
人ならざる道を自分から選んだ以上、全うに、綺麗に生きてる
そもそも……どちらの道を選択しても、私はきっと、色々と意識してしまう。
全部、自分の
だからこそ、私は転生するんじゃなく、記憶も抹消して、死神になる
そうすれば、
これ以上……
重苦しくなる空気。
きっと、ここまで考えてる、覚悟してるとは、
「この
お母さんとお父さんにも、黙ってる
お母さんの体の
ちょっと
でも……私の
私の
方法や報酬はともかく、私……契約して
でも……その度に、辛くもなった。
私の
……おかしいな。
私……強くなった
魔法で、タイムリープしたり変装したり、傷を癒やしたり、
なのに、
どうして心は、こんなにも弱くなってしまったんだろう。
今の私に、
「だから……
せめて
パパやママ、
……そう、願ってた。
……ごめんね?
「……
足腰が動かず、
目を閉じ、涙を流しながら、けれど笑顔を絶やさない彼女が、私には
「……変わっかよっ……!!
死神になったとか、寿命が近いとか……!
そん
ちったぁ、自覚しろってんだ……!
どんだけ、あんたの
「
彼女の言葉に賛同する
「私……!
もっと、一緒、
もっと、もっと、一緒に
ずっと、ずっと……生きてたい、よぉ……!
三人だけじゃ、
四人じゃなきゃ……
そんなの、ちっとも……! 楽しくないよぉ……!!」
「
口下手で遠慮がちな
自己主張する
続いて
「この際だから、言っておくけれど。
あなた、自分が思ってるより、器用なタイプじゃないわよ、
だから……もっと、ちゃんと、
教えて
肝心な時に、救いを求めるあなたの手を掴めない、握り返せないなんて……そんな
その方が、
迷惑かけまいとする心掛けは立派だけど、その行為自体が、実は意外と、
一つ、勉強になったわね。
以後、
実母みたいに説きつつ、私の額をツンッと軽く押し、三人をガバッと包み込む
ああ……と思った。
もう、私は充分だと。
三人には、ここまでで
「……
私……
だから……」
「……
声だけで読み取れる辺り、
けど……ちょっと遅い。
「おわっ!?」
「きゃっ……!」
「なっ……!?」
魔法で三人と距離を取り、ベッドで寝かせ、金縛りで動けなくした私は、背中を向けて告げる。
「私……
私が望む物を、私が欲しかった状態で、どうしても手に入れたい……。
その
「
「
「
あなた、やっぱり……!?」
嫌な予感がして、慌てる
疑惑が確信へと変わり、制する
銘々の反応を感じ取りつつ、私は振り返り、グシャグシャの顔を隠さずに、最後の。
別れの言葉を、送る。
「……ありがとう。
この気持ちだけは、
だから……もう、平気」
このままじゃきっと、三人まで、死神になってしまう。
私と
私の決意、死の運命は、決して揺るがないから。
けど、二人のボス……
私の
まだ会った
なまじ、気まぐれで人間と契約したり、手間取る
現に私も(シミュレーション上とはいえ)何度も消され、ご機嫌取りの
パパとママ、
けど、三人は違う。
元気な
間違い
そうでなくても、三人は今、受験生。
これ以上、心労を増やしたくないし、ましてや、それが他でもない私だなんて、冗談じゃない。
それは、
三人にだけは、『
これ以上、踏み込ませたくないから。
だから……
「死神絡みの記憶を、
これで……
私も……なるべく、いつも通りに振る舞うから。
だから……もう、心配しないで。
私なら……一人でも、やって行けるから。
どうせ、あと少ししたら、家族とも離れるんだし」
「
「そんなの……
「
三人が、
必死、悲痛そうな顔色を見て、
「……
……
……
掴むのではなく振り払う
「……またね……」
三人の手を切るイメージで、右手を振る、
そうなる
三人と普通、普段になるまでの所要時間を、確保する
……分かってる。
ちゃんと全部、自覚してる。
何もかも、私がいけないのだと。
甘ちゃんで甘えん坊な私が、中途半端に欲張る
「うっ……」
これで最後。
もう三人には、何も望まない。
いつも通り、今まで通りでさえあれば、他には
そう、ならなきゃいけないから。
「うわっ……!」
だから、せめて、あと少し。
三人が目覚めるまでの間だけ、
このどうしようもない私の、どうしようもない願いを、どうしようもなく世界にぶつけさせて
「うわぁっ……!!」
泣き止んだら、強くなるから。
また
卑怯者で未熟者で愚か者な私なら、きっと叶うから。
「うわぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁっ!!」
嗚咽だけでは収まり切らなかった思いが、内側から溢れ出し、叫びになって部屋を駆け巡る。
いっそのこと、この声で皆の脳が、記憶が呼び覚まされてしまえば
受験とか、夢とか、高校生活とか、未来とか。そういうの
そんな
※
「
何、一人で勝手にサクッと帰ろうとしてるんだよっ!
置いてくなんて、
放課後。
が、
「
「
あなた今日一日、どうにも上の空だったし」
「さては、昨日の勉強会、捗らなかった
いやー、分かるっ! 気付けば夕方だったもんなー!」
「それは
「
「フカフカ……寝心地最高だった、です……」
「そうね、
でも、ごめんなさい。
今は、その話じゃない」
「あー、
おーい、
いつも通りの会話に苦笑いしていると、不意に後ろから先生に呼ばれ、振り返る。
見ると先生は、資料の入った段ボールを両手一杯に抱えていた。
「今、
毎度毎度すまんが、ちょっと手を貸してくれないだろうか?」
「あ……」
そういえば、帰宅部な上に良い
でも、
残り少ない時間を、私は一秒でも長く、パパ、ママ、
だからといって、ここで
……
どこか別の部屋に持って行って、魔法でサクッと終わらせちゃおう。
それなら、そこまで遅くはならないだろう。
「……分かりました」
ポジりながら受け取ろうとした段ボールを、横から
「悪いけどさぁ、セーンセ。
だから、代わりといっちゃ
……え?
「
何言ってるの。
今日も、ヘルプ頼まれてたでしょ?」
「そっちは、後できちんと詫びれば
力強く言いつつ、
二人も瞬時に察したらしく、
「
「そういう
ここは
「おう、そうか?
じゃあ三人とも、
特に、
「任せてください。
二人のお守りも、しっかりやります」
「
「そうね。ごめんなさい、
訂正します。
「うぉーい!
「……
「分からん」
私からの質問に、
かと思うと、今度ばかりは鼻を掻き、やや恥ずかしがりながら告げる。
「ただ、
「口惜しいけど、私も同じよ」
「以下略、以下同文、右に同じ、です……」
「いや、
「照れ隠しよ。
それより、
「そうそう!
……で、
「何言ってるのよ。
そんなの、決まって」
咄嗟に答えを言おうとし、思い返した
が、長考しても辿り着けず、
「
「……分かるよーな、分からないよーな……です……」
縮こまりながら、素直に返答する
三人が、妙に私に合わせてくれている
でも、それは有り得ない。
他でもない私が、
事実、
私の死が間近に迫っているだなんて、思いもよらないのが見て取れる。
じゃあ、
「簡単だよ」
「っ!?」
不意に背後から、聞き慣れた、反抗期チックな声。
と同時に、世界が時を、
いきなり現れた
「ああだこうだと
が、君の魔法の効果範囲は、あくまでも三人の『脳』まで。
しからば、
つまり今、
と思っていると、見透かされたらしく、
「
心ってのは、生き物であり、化け物。
持ってる本人が
だから、主の意図、本音を容易く見抜き、それに従って無意識に忠実に動き、得てして再現、実現しようとする」
「要するに、
君が幼馴染達に勘付かれたのも、こんな
配慮が至らないドジっ子と見せかけて、その実、君は、計算高い無邪気で腹黒い策略家って
……。
…………。
……………………。
「
堪らず、私は叫びながら、顔を両手で覆いながら、廊下をゴロゴロしてしまう。
恥ずかしい……恥ずかし過ぎるぅっ!!
私、
「まぁ、気にする
自覚してるだけ、まだ
あんまり傀儡にしてちゃ、
ま、嫌われない程度にしときなよ」
「
こんなの、あんまりじゃないですかぁ!」
「今更、何言ってるんだか。
最初から、あざとさ全開の喋り方しといてからに。
普通、今時の、
丁度、今みたいには。
おめでとう。進化
「〜っ!!」
八つ当たりなのを承知で、
が、ホログラムだったらしく、そのまま突き抜けてしまう。
勢い付け過ぎた
が、私の腕を握る形で、
って!
そもそも、
「残念でしたー。ベロベロバー。
用意周到さなら、まだこっちに、一日の長が
悔しかったら、さっさと大人になって、同じステージまで来るんだね。
じゃ、用も気も済んだし、サラバイレーツ」
意味不明な別れの言葉(恐らくアドリブ造語)を残し、姿を眩ます
瞬間、ポーズ状態にあった時間が、再び動き出した。
「……
「どうか、した……です?」
「……
まぁ、その……アレか。
経緯はさておき、これだ私が必要以上に思い込む、背負い込まなくて
そう、前向きに捉えるとしよう。
じゃないと、キリが
「……今日は、
でも、次は無いから!
あと今度、クレープご馳走する! 強制参加!
以上!」
余談だが後日、クレープは
正直、この新しい関係性はまだ慣れない。
けど、悔しいけど満更でもないし、現に何かと大助かりしてる。
私は、意外と死神適性値は高いらしい。
そして、
そんな
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