第45話 衝撃の事実

 その日の夜。

 俺は紗季姉へ連絡をかけた。

 三回ほどコールがかかり、紗季姉が電話に出る。


『もしもし海斗、どうしたの?』

「もしもし紗季姉? 今時間平気?」

『えぇ……今はリビングでくつろいでいたところだから問題ないわよ』

「ならよかった」


 そうして俺は、すぐさま本題へと話題を移す。


「その……京谷のことなんだけど。なんか最近様子がおかしいらしくて……紗季姉は何か知らない?」

『そうね。あの件依頼私も特にこれといったコンタクトは取っていないから、わからないわ』

「そっか……」

『何かあったのかしら?』


 俺は紗季姉に相談すべきかどうか、悩みに悩んだ。

 結果――


「いやっ……何でもないよ。ありがとう」

『あら、そう? 困ったことがあったらなんでも言ってちょうだいね』

「うん、わかった」


 そこで京谷の話題を切り上げると、紗季姉が意気揚々と言ってくる。


『そ・れ・で・よ海斗! SNSの件も落ち着いたことだし。そろそろ海斗の手作り料理が食べたいわ』


 まあ、SNSの件も一応は解決したわけだし。

 紗季姉には我慢させちゃった分、たまには甘やかしてあげてもいいのだろうか?

 そんなことを考えているときだった。

 ピロン、ピロン! 

 スマホの通話を知らせる音が鳴り響く。

 画面を見れば、電話主はなんと田浦さんからだった。


「悪い紗季姉。その話はまた今度ってことで」

『えぇ、そんなぁ! 私がどれだけ海斗の手料理を待ち望んでいると思って――』


 紗季姉の言い訳を途中でぶつ切って通話を終え、俺は田浦さんの電話に出る。


「もしもし?」

『あっ、もしもし須賀君⁉ 投稿見た?』


 田浦さんは第一声でいきなりそんなことを聞いてくる。

 電話越しからでも、動揺している様子がうかがえた。


「投稿? 見てないけど、なんのこと?」

『いいから、また大変なことになってるの!』


 何だろう……。

 そう思いながら、俺はスマホでSNSアプリを立ち上げて、タイムラインを見てみると……。


「えっ……」


 俺は、思わず言葉を失ってしまう。

 タイムラインに拡散されていたツイートには、消滅したはずのSNSが復活しており、さらには質の悪いことに、俺と紗季姉の見たこともないような写真の数々がばらまかれていたのだから。

 そこに写っている写真は、俺と紗季姉が隣の家から同時に出て来て、一緒に仲睦まじそうにしている姿や、紗季姉がラフな格好で俺の家に押しかけて、そのまま入っていく様子など……普通の人では絶対に入手できないような画像だった。

 しばらく紗季姉が俺の家を訪れていないことを考えると、これは例の最初の投稿がされる前から追尾されていたことになる。

 まるでストーカーのように張り込みされていたのかと思うと、背筋がぞっとしてしまう。


「マジでアイツ……何が目的なんだ……」


 俺が戸惑いを隠せずにそんな言葉をポロリとこぼすと、おもむろに田浦さんが口を開く。


『須賀君……ごめんね、今まで黙ってたんだけど……多分これ以上したら収拾がつかなくなっちゃうから言うね』


 そう田浦さんは切り出し、俺へ衝撃の真実を告げてきた。


『実はね――』

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