第19話 【愉快適悦】

獣人ウェア 兎族ラビット集落むらは、ちょっとしたお祭り状態になっている。

狩猟を苦手としている獣人ウェア 兎族ラビット集落むらに、人族私の子供達が沢山の肉を持って来た事で、久し振りにお肉が食べられるのだから。


焼肉や肉を煮込んだりして、みんなで美味しく食べている。


光一コーイチ一暗イアン達一行は、今日は獣人ウェア 兎族ラビット集落むらに泊まる事になった。

集落むらに一泊 お世話になりながら、新しい居住地の候補の情報を教えて貰う事にしたのだ。

一泊する事になったのは、それだけが理由では無く、肉を持って来た事への感謝として、

獣人ウェア 兎族ラビット達に、一泊して旅の疲れを取る事を提案された事から、決まったのだけれどね……


「この集落むらの周辺の事を知りたいけど、教えてくれるかな?」


イアンが集落むらに案内してくれた兎族ラビットに声を掛けた。


[良い 教える]


教えてくれそうだ。


「この近くには、他の種族の者は住んでいるのかな?獣人ウェアとかさ?」


そう訪ねた。


[いる 鼠族ラット いる]


「そうかぁ…… 鼠族ラット集落むらが近くにあるんだね。他にはいないのかな?」


更に訪ねるイアン。


[近く 無い]


「そう、教えてくれてありがとう。近くにある集落むらは、鼠族ラットだけだね」


重要な情報をゲットした。


「僕達は山に新しい集落むらを作りたいんだけど、どこか良い所は無いかな?兎族ラビット鼠族ラットのみんなに迷惑にならない所でさ」


[ある 山 兎族ラビット鼠族ラット 住まない]


「本当に!?良かった!どこかな?」


[あっち]


そうイアンに伝えて兎族ラビットは南の方向を示す。


「南か…… ありがとう。鼠族ラット集落むらはどっちに在るのかな?」


[あっち]


今度は南西の方角を示す兎族ラビット


「先ずは鼠族ラット達に肉を持って行って、挨拶してからかな……」


そう、コーイチに告げるイアン。


「そうだね。鼠族ラット集落むらを作っても問題無いか確認して、候補地を見に行こう」


目的が決まった。

子供達は、明日は南西に進んで、鼠族ラットに会いに行く。







コーイチ達が旅している頃、【人類村じんるいむら】では、めぐみを中心に、新しい居住地の整備を始めた。

東陽区とうようくと命名される居住地は、コーイチが移り住んでおさをする。

北陰区ほくいんくと命名される居住地は、イアンが移り住んでおさをする。

白村しろむら黒村くろむらは、名前の変更と同時に、おさが変わる。

新しい居住地は、巨大な塀や堀は完成しているけれど、各住居は完成していない。

だから、めぐみも住居作成を手伝っている。

土の魔法を使って、ガッシリ安定した物を作って行く。


「そうそう、上手いね。」


今 小さな子達にも魔法の使い方を学ばせるのも兼ねて、住居作りを手伝って貰っている。


「そう、ギュッと土に圧力を掛けて、石みたいに硬く変化させるの…… そうそう…… 上手く出来てエライね!」


この【土を操る力】は、文明的な生活をするのに、凄く使い勝手が良い。

家を作るのにも、木材などを使うより、安全性も居住性も高い物が作れるし、

狩りをしやすい場を作るのにも役立つ。

全員が使えると良いのだけれど、白い髪の子達の一部に、どうしても使えない子も誕生する。

黒い髪の子達の場合は、半数は使えない。


「お母様!中を焼いたよ!」


【土を操る力】が使えない子で、【火を出す力】が使える子には、住居の【焼き】をお願いしている。

固めた土の表面を高温で焼く事で、艶が出て耐水性や耐久性が高くなる。

特に屋根の部分をよく焼いて貰って、雨風に強く変えて貰っている所だ。


「上手く出来たね!えらいねぇ!今度は外側をお願いね!」


と、声を掛けると……


「うん!特に屋根をしっかり焼くんだよね?頑張る!」


そう言って、高温の炎を出して、外を焼いている。

地球では有り得ない作り方だけど、ずっとこうして作ってきた。

焼き上がると、表面がキラキラしてきれいなんだ。


【土を操る力】が使える子達は、【造形】する事を頑張り、【土を操る力】が使えなくて、【火を出す力】が使える子達は、【焼き】をする事を頑張り、両方ののうりょくが使えない子達には、焼き上がった住居の【冷却】を、【風を起す力】でしている。


そして、時間は夕暮れ時になる。


新築されたばかりの家々の赤茶けた屋根壁が、夕日に輝き美しい風景となっている。



さて、明日はどんな日かな?

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