アンドロイド異世界転生記録
Leiren Storathijs
第1話 再起動
機体名称:
ヒヒピーピー……再起動完了。
システムチェック完了。異常なし
機体損傷率:0%
Noahは再起動した。視界良好、現在位置不明。ただし視界に映る景色はNoahの記憶にあった。中世の時代にあった王宮である。だがどこか違う。
Noahの目の前には王がいた。純金の冠に真紅のマント、裕福な服装からより高い位に立つ人間だと判断する。
Noahが状況の整理をしていると、王は口を開いた。
「よくぞ参った転生者よ。我が名はレイ・バシレウス国王である。我々は今、未知の危機に瀕している。最近、頻繁に自然災害が起こるのだ。大洪水、大嵐にそして大飢饉までも。
それらの厄災に我々は何とか復興を重ねてやってきたが、もう限界に近い。どうか、どうか我らの国を救ってはいただけぬか」
Noahは無機質な声音で即答した。
「私はNoah。その命令には従えません。貴方は私に命令する権限がありません。現在の権限は誰にもありません」
「お、おう……お前は機械か何かかね? なら命じよう。これからのお前の主は『私』だ。命令を実行せよ」
王はより威厳のある姿でNoahに強く命令した。
そしてNoahは更新する。
「新たな命令権を確認しました。現在の命令権はレイ・バシレウス。命令内容を確認します。レイ・バシレウス国王に迫る不明の災厄を調査し更なる被害を最小限に抑える。これで構いませんか?
内容からするに完全な阻止は不可能と判断します。災厄とも呼べる大災害は私一人ではなく、バシレウス国王の協力、その他国民の協力が必要不可欠となります」
「おぉ……! よろしい。それで良い」
Noahは即座に命令内容から現在の王国の現状を推測し、適切な判断を下す。
この態度に王の周りにいた兵士はどこか緊張した表情だった。
「では次に現在の状況に最も適した判断を下す為に不必要な情報を整理します。
現在の状況を最適化する為には情報が不足しています」
「あーすまない。その情報集めも命令する。兎に角Noahよ。お前は我に頼むのではなく自由に動け。お前が何処で何をするにしろ、これは命令ではなく我が国の願いなのだ。
よって今より命令権を我から全世界の人々へ変更する。Noahは自由に世界を動き回り、いつかの大厄災を阻止するのだ。よいな?」
Noahはなんの抵抗もなくそれを承諾する。
「命令権の変更を確認。現在の命令権は『自由』。全ての人々の命令に対し、受諾するか拒否するか。私の判断によって決まります。
最終目標の確認。近頃に起きている世界の厄災の原因を調査し、いつか来る大厄災の阻止。これからはこれを重点的に置き、行動します。
またこれらの行動に人間性を追加します。情報の収集にはアンドロイドの生き方では不向きな為、情報収集に必要な項目を追加します。
これより人間の感情をより精密に分析し、凡ゆる行動に影響を与えます」
「あ、あんどろいど? う、うむ。何を言っているのか良く分からんが、頼んだぞ」
「それでは任務を遂行します」
Noahは国王バシレウスに背中を向け、王宮の外へ向かった。
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