第2話 王都エアリュミエ

王都を目指して歩き始めて1時間経った頃に、ようやく南門が見えてきた。

当たり前ではあるのだけど、ゲームでは1分程の距離もリアルだと60倍もの時間が掛かった。


「思ったよりも時間が掛かったなぁ。

それに、ゲームだと城門を素通り出来たのになぁ・・・・。」


門の前では、衛兵による入門手続きが行われていた。

時間も陽が落ちて少し経っている事もあってか人もそれほど多くない。

10分程経って僕の番になった。


「身分証明となる物の提示をお願いします。」


衛兵さんからの言葉に僕はかなり動揺した。

なにせ、この世界の身分を証明するようなものを何一つとして持っていないのだ。

もしかして、いきなり人生詰んだ?


「おい、身分を証明するものがないのか?」


「・・・・はい。」


「そうか、ならば詰め所の方に来てもらおう。」


「・・・は・・ぃ。」


あぁぁ、いきなり僕の第2の人生終わったわ・・・・。


先程対応していた衛兵さんとは、別の衛兵さんと一緒に詰め所の方へと歩いている。


「おい、君顔色が悪いようだが大丈夫か?」


「あの・・・僕はこれからどうなるのでしょうか?」


「・・・ん?

あぁ、これから簡単にだが、犯罪歴とかがないか照合して問題ないようなら仮の入門証を着けてもらう。

君の故郷で身分証などなかったのかい?」


「えっと・・・どうなんでしょう?

気が付いたら南の平原に居たのでわからないです・・・・。」


「なっ!?記憶喪失か?

後で医務室の方にも寄ってみようか。」


転生してきたとは言えないので、気が付いたら南の平原に居たことにした。

まぁ、状況的にあながち間違ってはいないだろう。


詰め所の中で、魔道具?に手を触れ犯罪歴が無いことが確認された。

数秒で結果が出たので、なかなかハイテクだと思った。

その後簡単な質問を受けて医務室へと案内された。


そこには、白衣を着崩し少し気だるそうにしている妙齢の美女がいた。


「おい、エルザちょっとこの人を診てやってくれ。

どうも記憶を失っているようなんだ。」


「あー?はいはい。

わかったわ。」


「それじゃあ、後は頼んだよ。

じゃあ、アキラくん。

彼女はあんなだけど頼りになるから安心していいからね。

じゃあ、また。」


衛兵のフレッドさんは、持ち場へと戻っていた。


「アキラだったかしら?

あなたはどの位の事を覚えているのかしら?」


「えっと・・・自身の事以外であれば、其なりにはわかると思います。」


「はぁ~?それはまた奇特ですねぇ。

お金の価値や職業とかに関しては問題ないかしら?」


「全てではないかも知れませんが、おそらく大丈夫かと思います。」


「それなら、たちまち生活に困るって事もないのかしら?」


「そうですね。

南の平原から辿り着くまでに魔物も、其なりに倒したのでギルドで素材を売れば問題ないかと思います。」


「そうなのね。

それじゃあ、取り敢えず今日はこの位にしようかしらね。

急いでギルドへ行って手続きした方がいいわね。

宿もとってないでしょうし、ギルドへ聞いてみるといいわよ。

光の日以外であればだいたいここに居るから、

もしも困った事があればいつでも来なさい。

相談くらいならのるわよ。」


「わかりました。

ありがとうございました!」


こうして僕は詰め所の医務室出て、冒険者ギルドへと向かった。






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