第68話:基礎レベル向上
毎日来襲してくる勇者をハチを使って迎撃する毎日を20日ほど過ごした。
だがそのために王女を海に連れて行った時に集めたスズメバチが減っている。
ミツバチは手つかずだが、このままではいずれ使えるハチがいなくなる。
本当は勇者を撃退した直ぐ後で砂漠を横断して補給に行けばいいのだが、それでは巨大城砦方面の陸上環境が悪くなってしまう。
それでなくても小鳥やハチが激減した事で虫害が増えている。
だが時間稼ぎができたお陰で、俺自身の基礎レベルを底上げすることができた。
砂漠の魔物を斃すことはできなくなったので、生産術を無制限に使う事で基礎レベルを向上させることができた。
戦闘スキルを上げる事はできないが、基礎レベルを向上させることができれば、戦闘スキルの発動時間を短縮する事も、破壊力を割り増しにする事もできる。
まあ、英雄の俺にはたいして関係がないのかもしれないけれどね。
だが知識を得る事も生産する事もとてもおもしろいから、それだけで十分だ。
そもそも苦しい鍛錬を長くする事なく好きなおモノを創り出すことができる。
動物や虫を飼う事で心が癒されるのも確かだ。
それに、日本にいる時は甘いものなど欲しいとは思わなかったが、絶対に手に入らないとなると欲しくなるものだ。
だからついつい養蜂に力を入れてしまうのだ。
20の島には、促成栽培魔術で生い茂らせた草花や牧草地がある。
蜜を集める習性があるミツバチがいる。
ここまで条件が整っているのに、ハチミツを作らないバカはいない。
酒が飲めないからハチミツ酒は作らないがな。
だが俺の興味はハチミツだけではおさまらなかった。
俺の知る限りの回復薬と快復薬を莫大な量作り出した。
その材料となる薬草を促成栽培した。
全ては生産スキルを上昇させて、基礎レベルを上げるためだった。
魔物を斃せないなら作ればいいだけだった。
俺の知る限りの薬を作って作って作りまくる。
だが、それでは基礎レベルは底上げできても知識欲は満たせなかった。
「エリザベス王女殿下、ちょっと補給に行ってきます」
俺は返事も聞かずに王都を後にした。
返事を聞いている時間ももったいないのだ。
なんといっても残された時間は24時間しかない。
撃退した4人の不良勇者が再攻撃してくるまでしか時間がない。
その時間に巨大城砦方面に行って新しい知識を手に入れるのだ。
砂漠を横断して乾燥地帯を抜け、半島部分にいけば国があった。
しかも海を渡った先には他の大陸があり、サザーランド王国やスタンフォード王国にはない知識や技術があるのだ。
莫大な対価は必要だが、蘇生薬を手に入れる事も、蘇生魔術について書かれた書物を手に入れる事も不可能ではないのだ。
そして俺は創り出した巨大真珠を対価にして、蘇生魔術について書かれた書物を手に入れる事に成功した。
騙されるのは嫌いなので、魔術で嘘をつけないようにしてから買った。
実際に読んで実行可能な事を確かめてから代価を手渡した。
お陰で今は莫大な魔力を使うことなく蘇生魔術を使うことができる。
後は蘇生薬に関して書いてある書物を手に入れるだけだが、あの巨大真珠が対価にもらえると評判になれば、多くの者が運んできてくれるだろう。
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