第48話:魔物軍

 槍の勇者は下痢大使の報告に不審を感じた宗主国が送り込んできたのだろう。

 恐らくだが、敵の目をそらすために的確な報告を送り過ぎたのだろう。

 下痢大使にそんな報告を書く能力はなかったのかもしれない。

 それとも、下痢大使が本国に呼びつけられた時に不審を感じたかだ。

 ステータスには俺に操られているような文面はなかったが、俺が指示した行動が正々堂々とし過ぎていたのかもしれない。


「なんだこりゃあ、こんな化け物がいるなんて聞いてねえぞ。

 うっわ、気持ちわりぃなぁ、この虫野郎が。

 エアランスアタック」


 そう口にした槍の勇者が中型のサンドワームに遠距離攻撃をしかけてきた。

 俺が不安に思っていたように、勇者槍術にも遠距離攻撃があったようだ。

 知らないでいたら必要以上に警戒をしたり、不意を打たれたりする。

 実際に殺し合う前に知れたことはよかった。

 だが不良勇者の技がこれだけとは思えない。

 これを機会に全部見せてもらおうか。


「猟犬団に攻撃させるぞ」


「「「「「はい」」」」」


 俺はパーフェクトパペットで支配下に置いている魔物たちに勇者を襲わせた。

 それを鷹匠団員に監視させて、槍の勇者の実力を見極めてもらうと同時に、俺にスタンフォード王国に対する敵意や支配欲がない事を確認してもらう。

 パーフェクトパペットの技を見せてしまってから、この国の重臣たちの目に不安と疑念が含まれているのが感じられるのだ。


 さて、どうやって魔物たちに槍の勇者を襲わせるのかというと、魔話である。

 鷹匠団員が愛鳥と絆を結んで視力を共有できるように、俺も意思を共有できる。

 離れている距離が遠いと消費する魔力が多くなるのだが、無限の魔力がある俺には何の問題もない。

 俺の魔物が動き出すと、猟犬団員が支配下に置いている魔物も動き出す。

 サンドウルフではなく、サンドスパイダーやサンドワームがだ。


「うっわ、ほんと、気持ちわりぃなぁ、虫野郎。

 しね、しね、しね、死ね、死にやがれ」


 槍の勇者は本当に気持ち悪そうな表情をして、槍をふるっている。

 魔物には可哀想だが、勇者の自然回復力が知りたいから、殺されてもらう。


「ぐっわ、返り血が気持ち悪すぎる。

 ウォーター、ウォーター、ウォーター、ウォーター。

 エアランスアロー、エアランスアロー、エアランスアロー、クソ。

 エアランスアタック、エアランスソード、エアランスソード」


 魔物の血が身体にかかった槍の勇者が半狂乱になって水をかぶっている。

 槍の勇者は周囲をとり囲む魔物の数に、魔力切れの恐怖を感じたのだろう。

 魔力が5必要なエアランスアタックではなく、魔力が3ですむエアランスアローや魔力が4必要なエアランスソードの攻撃も加えだした。

 だが取り囲む魔物の数は徐々に増えてきている。

 最初は俺や猟犬団員が集めた魔物だけだったが、血の臭いに引き寄せられて周辺の魔物が全て集まってくる。


「いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、もうこれ以上やってらんねぇ。

 皆殺しにしてやる、潰れちまえ、エアランストルネード」

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