第42話:鷹匠団

「街の全周囲に目を配れ。

 何一つ見逃すんじゃない。

 魔力回復ポーションを上手く使え。

 1人10本もあるんだ、魔力切れを恐れず愛鷲と同調しろ」


「「「「「はい」」」」」


 鷹匠団員が城の中から王都の周囲を警戒する。

 今までは魔力に限りがあったので、できるだけ同調しているワシやタカに近い場所にいて、そこから周囲を偵察していた。

 だが今は、俺が大量に供与した魔力回復ポーションがあるから、安全な遠方から長時間偵察する事ができる。


 最初はこの方法に反対する鷹匠も多かった。

 ひな鳥の頃から愛情を注いで育てたワシやタカ、ヨタカやフクロウだ。

 使い捨てのように扱うのに反対するのは当然だ。

 だが、鷹匠のスキルを持つ人間は凄く貴重なのだ。

 冷徹に愛情を考えなければ、偵察用のトリはいくらでも手に入るが、鷹匠の代わりは滅多にいないのだ。

 俺がそれを口にしようとした時。


「バカ者、それでもスタンフォード王国に仕える鷹匠か!

 いつサザーランド王国が攻めてくるか分からないこの危急の時に、自分が愛しているからというだけで、国民よりもトリを優先してどうする。

 何も愛鳥を無駄死にさせろと言っているのではない。

 無駄死にさせないために、愛鳥との絆を深めろと言っているのだ。

 新しい交代用のトリを調教しろと言っているのだ。

 多少は未熟でも、交代用のトリがいれば、愛鳥に無理をさせないですむ」


 鷹匠団長が団員たちを𠮟咤激励した。

 眼を向いてツバを飛ばして団員たちを叱り飛ばした。


「ここにおられるモンドラゴン男爵は、スタンフォード王国に縁も所縁もないというのに、膨大な魔力と私財を提供してくださってるのだぞ。

 愛するデザートウルフを最も危険のある最前線で働かせてくださっているのだぞ。

 それを国に仕える鷹匠ともあろう者が、自分のトリだけケガさせたくないだと、そんな恥知らずを口にするの恥知らずは、私財をまとめてとっととサザーランド王国にいってこびへつらってこい」


 鷹匠団長から怒りに任せた言葉を叩きつけられて、団員たちの表情が一変した。

 それからの鷹匠団は時間を惜しんで新しいトリの訓練にはげんでいた。

 必要なトリは、俺が無限の魔力を駆使して集めた。

 砂漠に住む野生のザンドホークやサンドイーグルだけでなく、巨大城砦近くにまで行って、砂漠外に住むトリも集めた。

 

 幸いと言っていいのかは迷うところだが、今のスタンフォード王国には水も食料もたっぷりある。

 俺が鷹匠団と猟犬団に飲料水と食料を提供しいるので、団員の能力の限界までパートナーとなる動物を飼うことができる。

 その動物の中には、今まで考えもしていなかったモノまでいた。

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