第41話:ポーション
「ではこれを収めてください」
俺はこんな事もあろうかと、薬草でポーションを作っておいた。
英雄の無限魔力を駆使して、各種ポーションを10万ずつ作っておいた。
よくアニメやラノベにあるような、同じポーションなのに5割増しとか倍の回復力が付与されてはいない。
やろうと思えばやれたと思うが、そんな事をすれば現場が混乱する。
ポーションに必要な事は、使用者が求める効能通りの効果でなければいけない。
効能に大きな差があると、割増効果があると間違って使ってしまったら、それが原因で回復不足になってしまい、死んでしまう事もあるからだ。
だから余計な小細工はせずに、一般的な効能のポーションを大量生産した。
国民全員が、下級ポーション、中級ポーション、上級ポーション、最上級ポーション、完全ポーションを10回ずつ使える数だ。
「な、これは、いったいどうやってこれほどのポーションを手に入れたんだ」
今度はイザベラが驚愕の声をあげた。
イザベラも結婚することなくエリザベス王女を護っている。
どのような場所であろうとエリザベス王女を護れるように、女性だけで編制された姫騎士団の騎士隊長を務めている。
戦闘侍女として毒殺にも気をつけるほど、いつも側にいる股肱の家臣だ。
「作ったのですよ、イザベラ殿。
戦闘能力はありませんが、生産スキルは召喚特典があるようです。
まあ、今は俺の事など、どうでもいいではありませんか。
それよりもポーションの隠し場所です。
王家の宝物庫に入れておけば、誰にも見つけられないでしょう。
下痢大使が本国の命令で無理やり調べる事が不安でしたら各部隊に預けましょう。
猟犬団と鷹匠団、騎士団と姫騎士団に分散して預けておけば大丈夫ですよね」
俺はそう口にしたのだが、誰も何も言わない。
驚き過ぎて思考が停止してしまって、危険度を計算できなくなっているのかな。
さっき思わず口にしたイザベラも直ぐに決断できないような。
ソフィアに至ってはもう口を利く事もできなくなっている。
多分だが、これだけのポーション作るための魔力を計算して、衝撃の余り心が凍り付いてしまったのかな。
「そうは言うが、この量はあまりに多過ぎます。
各部隊に分散するにしても多過ぎます。
団員を疑ってはいけませんが、泥酔して口が滑る事もあります。
拷問や自白剤で無理矢理聞きだす事もあり得るのです。
普通に考えて手に入れられる質と量は受けとらせてもらいます。
それ以外はモンドラゴン男爵がこれまで通り保管しておいてください。
それだけの量を寄付してもらえると分かっただけで十分です。
これで根本的に戦略を変えることができますから」
エリザベス王女が決意に満ちた表情で答えてくれた。
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