第2話 定められていた最初の日
ピピピ ピピピ
「んぁ、さすが猫だね」
朝、重みを感じて目を覚ますと僕の上で寝ていた
ゴロッと彼女をのけると「んぁ」と目を覚ます
「あっ、お おはようございます」
「おはよう」
ワシャワシャ
「?!」
「あ?!ご、ごめん!」
「い、いえ」
「つい、実家で飼ってる猫に似てて......ん?」
彼女は耳をひょこひょこさせながら
「撫でられるのは嫌いじゃないです」
しばらく気まずい空気が続いた
「そういえば名前ないんだっけ?」
「はい」
「決めないとだな、呼んでほしい名前とかある?」
彼女はわからなさ気味に首を傾げる
「無さそうだね、そうだな~」
彼はうーんと悩ましい顔をしている
「そうだな、君は実家で飼ってた猫に似てるから実家の猫の名前はどう?」
「いいんですか?」
「もう2年前に亡くなったからね、いいんだ」
「な、なら私がその子のぶんも、ヒロさんと一緒に過ごしたいです」
耳をばたつかせながら泣けることを言う
「これからよろしくね、むらさき」
「はい!」
その後、朝ごはんを二人で食べ大学に行く準備をしていた
「今日は大学お昼まであるから、留守番頼める?」
「は、はい。」
❲自信はありませんが、❳ボソッとつぶやく
「ん?それじゃあ、行ってくるね」
「待ってます」
ガチャ
―――
大学についたものの、心配で仕方がないゆえさっきから落ち着かない。
「かーぬまー!」
「なんだ、結月か」
「なんだってひどくない?」
彼女は腰に手を当て頬を膨らませる、
彼女の名前は『結月 花』大学で初めてできた友達だ。
「明日から夏休みだけど、予定とかってあるの?」
「特に、無いかなこれといった予定は」
「無いならさ、ここ遊びに行かない?」
と、彼女がパンフレットを指す
『熱海』
「熱海かぁ、そうだないいけど夏休みの中旬にしてくれると嬉しいかな」
「いいよ」
「あと今日、家に寄ってって貰えないか?」
「何する気!?」
バッと両手で肩を掴む
「何もしねえよ!」
「何もしないの?」
「見せたいもんがあるだけだって」
「そ、そう」
両手の力を抜き肩を落とすと
「じゃ、またお昼にね」
「うん」
――キーンコーンカーンコーン――
お昼までの講義が終わり、食堂のいつもの席に行くと彼女が座っている。
「よし、帰るか」
「お昼は?」
「家で食べる」
え?とキョトンとしながら目で俺を追う
「ねぇちょっとまってよー」
「いいか、この事は他言無用で頼む」
「いいけど、なんなの?」
ガチャ
「ただいま、いるか?上がっててくれ」
「一体何をし、て」
「ヒロ、おかえりなさい」
むらさきは部屋から出てくるとドアの前で立ち止まる
「え?」
「?」
「これは?」
「ヒロ、この人は?」
「誰?この子」
「まあとりあえず、居間に来てくれ」
二人を居間に連れて行き
「まあ座ってくれ」
「説明してくれないといまいち状況がわからないんだけど」
「説明すると長くなるけど」
「いいよ」
〜カクカクシカジカ〜
「だいたい分かったけど、なんか納得いかないとこもあるんだけど」
耳を興味津々そうにつんつん触る結月に
「熱海のことなんだけど、むらさきも連れて行こうと思うんだ」
「それまたどうして」
「むらさきはこれから家で暮らすことになってだな、人慣れ、外慣れさせときたいんだ」
彼女はふーんと一息つくと
「よし、なら今から出かけない?」
「どこにだ?」
彼女は腰に手を当て得意そうに
「そんなの決まってるじゃない、この子の服買いに行くのよ」
あー
「いいな、それ」
首をかしげながら目を合わせているむらさきを見ているといまいち分かってなさそうな顔をしているのだった。
「んじゃ、行くか」
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