スキル『徐々に石化』を持つ俺はパーティから追放される。だが俺以外このスキルの本当の恐ろしさを知らない・・・

昆布 海胆

スキル『徐々に石化』を持つ俺はパーティから追放される。だが俺以外このスキルの本当の恐ろしさを知らない・・・

「えっ?」

「意味が理解できなかったか?お前とはここでお別れって言ってるんだよ」


異世界に召喚された俺達4人は勇者として世界を救うため戦ってきた。

別々の世界から呼び出されたとは言え、僕ら4人は一蓮托生だった筈。


「大体『徐々に石化』なんてハズレスキルしか持たないアンタは必要ないって言ってるのよ」

「しかり、戦いにも生活にも何の役にも立たぬ」


勇者ライアス、スキル『究極剣技』

聖女ミランダ、スキル『全能魔法』

戦闘牧師バーミアン、スキル『玉石混合』


3人はそれぞれ固有の能力でこれまでの旅を進めてきた。

戦闘に特化しかライアス、全ての魔法を使用できるミランダ、細かな技術と知識を調べたり出来るバーミアン。

しかし、俺タナハシはスキル『徐々に石化』と言う他人が聞けば微妙としか言えないようなスキルしか持ち合わせていなかった。

それでも神の力により俺達4人はある特殊なルールを持っていた。

それが神の加護である。


RPGなんかでよく見るこの加護は、4人が全滅した時に最寄りの教会で生き返れるという加護である。

だからこそ俺達4人はパーティとして旅をしていた筈なのだが・・・


「心配するな、お前がここで死んだとしても俺達3人が死んだら一緒に教会で生き返るから」

「そうよ、まぁその頃には私達だけレベルが大きく上がっててあんたは更に役立たずだろうけどね」

「しかり、後は我等が戦う故、お主は安らかに眠ると良い」


好き勝手な事を言われ、持ち物を全て回収されて俺はここに捨てられた。

ここ、深淵の迷宮22階層に・・・

ここは果てしなく続く無限迷宮、人が魔物と戦える様に強くなる為に神が用意したと言われるこの世界唯一のダンジョンである。

ここで魔王を倒す為に俺達はレベルアップを頑張っていたのだが・・・


「まぁ土の魔王は既に倒したから残る3人の魔王を倒すまでの辛抱だよきっと」

「そうそう、私達が世界を救ったらきっと女神さまが助けてくれるわよ」

「しかり、ゆっくりと眠りにつくとよい」


死んでも生き返るという事もありあっさりと俺を見捨てる決断を下した3人・・・

だからこそ俺は今まで秘密にしてきたこのスキルの制限を取り外す決意をした。


「本気・・・なんだな?」

「あぁ?当たり前だろ、役立たずは一度死んで身の程を知れば良いんだ」

「そうよ、あんたみたいな役立たずは地獄を見ればいいのよ」

「しかり、眠ると良い」


そう言われ、俺を放置して3人は何処かへ向かって歩いていく・・・

だが、離れた場所で聖女ミランダがこちらを向いて何かの魔法を使用した。


「悪いけど、追放物の定番で復讐されるのはまっぴらごめんだから確実性を取らせて貰うわよ」


そう聞こえると共に俺の体に魔法の呪縛が襲い掛かる。

これは、バインドと呼ばれる魔法だ。

相手の動きを拘束する魔法であるが、これを突破するには使用者以上の魔力が必要なのだ。

そうでなければ使用者が決めた時間が経過するまで解けないのだがそれで十分なのだろう。

仲間殺しのデスペナルティ、レベルが1に戻るを避けるには十分だから・・・

あとはここの魔物が俺を殺せば完了という訳だ。


見えなくなった3人を見送って数分・・・

後ろから足音が聞こえた。

獣の頭を持つ人型の魔物、コボルトである。

身動きがとれない俺に近づいてくるその息遣いに俺は大きなため息を吐いた。

仕方ない・・・そう仕方ないんだ・・・

だって・・・


「自分の身を守る為だもんな」


そう言って俺は振り返る事無くスキルを使用した・・・










「はぁ・・・やっぱりこうなったか・・・」


俺は自分のステータスを見てため息を一つ吐く・・・

そこにはレベルが1になった俺の最弱ステータスが表示されていた。

首だけ動かして後ろを見ればそこには驚愕と恐怖に満ちた表情のまま石になったコボルト達。

そう、俺はスキル『徐々に石化』をこの階層に使用したのだ。

それにより、この階層に居る俺以外の全ては石化して死んでしまった。

俺を見捨てた3人も含めて。

だが、俺を拘束するバインドの効果は切れず、弱体化したステータスではここから抜け出す事すら叶わない。

だから仕方なく俺はもう一度スキルを使用する・・・


「スキル『徐々に石化』をこのダンジョンに使用!」


本来こんなズルはしたくなかった。

何故ならばチートを使ったゲームが一気に面白くなくなるのは良くある話だからだ。

だが物は考えようだろう、こういうやり方も悪くないかもしれない・・・


「うっ・・・きたぁ・・・」


その時、俺の体に流れ込んでくる膨大な経験値と呼ばれる存在の力。

それはこの迷宮内に居る全ての生き物の物・・・

バインドの魔法を抜け出してここから脱出する為に必要なのだから仕方ないのだ。


「あ・・・がぁ・・・」


だがここは神が作り出した深淵の迷宮、何処まで深さが在るのか分からないとされるだけあって俺に流れ込んでくる存在の力も果てしなかった。

全身が悲鳴を上げる様に強化されていく・・・

脳が焼き切れそうな程の変化に耐えきれず意識はそこでブラックアウトした。


(しまった・・・死んじゃったらあいつらも生き返って・・・)


それが俺が最後に考えた事であった・・・












「ん・・・あれ?」


目を覚ました俺はまだダンジョンの中に居る事に気付き体を起こす。

そうやら倒れた拍子にバインドは解除されたようで何の抵抗も既に無くなっていた。

フト最後にやった事を思い出しステータスを開いて俺は驚愕した。


「なん・・・だよこれ・・・」


レベル、3471ZZZ

HP、9217HILA

MP、724BIUT


文字化けしたとも思えたこのステータス。

そして、最後に記載された称号・・・


『深淵の迷宮 111111階層攻略者』


こうして俺はこの世界最強の存在となった。

試しに残された魔王を一人で倒してみようと思ったが・・・


「ひ・・・ひぇええええええ!!!」


前に立っただけで失禁悶絶死しちゃったんで戦う事無く勝利してしまった。

魔王に限らず、どんな魔物も俺の気配を感じただけで逃げ出すか魔核麻痺を起こして死んでしまった。

そうした事からやはりチートは面白くないと考えた俺・・・

最後の魔王を倒してしまえばあの3人も元の世界に戻るのだろうから、俺は最後にとっておいたお楽しみを行う為に深淵の迷宮に再び足を踏み入れた・・・


22階層をくまなく探し、俺は目的のそれを見つけた。

そう、俺を追放した3人の石像だ。


「在った在った!」


俺は嬉しそうに近づいてミランダの石像にスキルを使用する。

俺のスキル『徐々に石化』は勿論『徐々に石化を直す』と言う事も出来るのだ。

そして、徐々に石化で死んでいく者は意識が最後まで残っているのに対し、徐々に石化を直す場合は意識が最後に戻る。

それはつまり・・・


「さーてお楽しみお楽しみ♪」


魅力的なミランダの事を好きに出来るという事で・・・

俺はあーんな事や、こーんな事をたっぷりねっぷりうっぷりどっちり堪能する・・・

それこそ他人が見たらドン引きする様な事から目を背けたくなるような事までたっぷりと・・・

幸いあと少しで意識が戻るという直前で石化解除は停止してある。

神の判定的には死亡扱いなので彼女が死ぬ事は勿論ない、そして石化が解除される前に傷を治療すれば問題ない!

そして、俺はPCのエロゲーでも描かれないような事をたっぷりとミランダで堪能させてもらった。

もう俺の思いつく限りの性癖は堪能し尽くすかのように・・・


「いや~堪能した堪能した~♪」


高級なポーションを何度も何度も使い自分とミランダを回復させながら不埒の限りを尽くした俺、満足気に何日も堪能し尽くしたミランダに別れを告げる時がいよいよやって来た。

彼女ならば二人の石化を解除して俺に復讐しようとやって来るかもしれない。


「まぁその前に最後の魔王倒して元の世界に帰るけどね♪」


そうご機嫌に言いながら俺はミランダの石化を完全解除する・・・

結果・・・


「へっ?あ・・・あれ?私・・・えっ?・・・ぁ・・・ぁがっ・・・」


離れてその様子をニヤニヤしながら堪能する。

そう、これ!この瞬間の為に俺はミランダを堪能し尽くしたのだ。

通常石化中に起こった事は元に戻っても影響を受けない、だが石化が徐々に解除されている最中に元に戻った体が感じた感覚は解除と同時に彼女に襲い掛かるのだ・・・

結果・・・


「ひぃ・・・あ”ひぃ~~!!!ぐがぁっあひはひぃぅぎひぃいい!あがぁうぎぃあぁあぁあああ!!あっハッハヒィ♡ うぃあアアァァッァア”-!!!!!」


痛みと快感が交互に本来はあり得ない勢いで同時に襲い掛かり絶叫の様な悲鳴をミランダは上げる。

全身を震わせ痙攣を起こしながらも彼女はそれに屈する事無く耐える・・・

いや、レベルによって耐えさせられているのだ。


「あがっ♡ お”っ”♡ お”っ♡ オ”オ”ッ♡ あっっ・・・♡ お”お”お”お”お”♡♡」


痛みはやがて脳内麻薬によって麻痺し彼女に残るのは快楽のみ・・・

気が狂いそうな勢いで襲い掛かる快楽の濁流は意識を手放せば救われるというのに終わる事無く彼女を凌辱し続ける・・・

傍から見ればただ狂って絶叫しているだけの姿、きっとこれは18禁じゃない!筈!

そんな誰に説明しているのか分からない俺の脳内に女神様からのお告げが届く・・・


『グッジョブ!』


はは・・・

こうして俺はミランダを堪能し尽くし最後の魔王の元へ向かう・・・

ミランダのあの姿を堪能し尽くした俺は一刻も早く魔王を倒して元の世界に帰らねば・・・

だって・・・彼女は聖女ミランダ・・・そのスキルは『全能魔法』・・・

もしかしたら自分が受けた感覚を相手に共有させる魔法やもっと酷い復讐をされる魔法を使うかもしれないから・・・

俺は間違えない、チートを貰ったのは俺だけじゃない筈だから・・・


「そう、逃げるが勝ちってやつなのさ♪」


そう笑顔で最後の魔王の元へ行った俺は俺の存在に驚愕する魔王と言う名の帰国チケットに飛び掛かる。

俺はまだ知らない、最後の魔王を倒した後に裏世界の魔王がまだ4人居るという事を・・・

そして、俺を追いかけるミランダが想像の真逆の感情で俺を追いかけているという事を・・・





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