兄と妹
バブみ道日丿宮組
お題:気高い嘘 制限時間:15分
兄と妹
空から車が落ちてくることなんて起こりえない。
小さい頃はそんなことを思ってたのだが、
「またか」
ビルに突っ込んだ車を目撃するようになると考えを改まるきっかけになる。
「最近多いですね兄さん」
「空を飛べるから万能というわけじゃない」
「兄さんの場合免許が取れなかったからでしょう。私は免許取れましたよ」
この妹はほんと喧嘩を売ってるんじゃないのかっていうくらいに煽ってくるな。いつものことだから怒る気はしないが他人がみれば喧嘩に思えるかもしれない。仲良し兄妹として町内で有名だからそれは避けたいところだな。
「兄さん顔がすけべな顔です。変態さんは家の時だけにしてください」
「お前のことを考えてたら自然とな」
「それならしかたないですね。私はどんきゅっぽんですから」
胸を張る妹の身体はその言葉に偽りありだ。出るところがまるででてない。小顔だから小動物のような愛くるしさはあるがお姉さま系の色気はまるでない。
お風呂で毎日見てるから間違いはない。
「なんにしても車の事故増えたよな。空中からファンネルのように突っ込んでこられると回避できない」
「そのためのバリアリングじゃないですか」
妹が右の人差し指につけてる青い宝石がついた指輪を見せてくる。
これは空を飛ぶ車の位置を強制的にずらす道具で、衝突を回避させるものだ。簡単にいえば自動回避だな。
「違法車には対応できないのが痛いところだがな」
俺のように免許取れない人間がそういう違法車にのる。ちなみに車は免許を認識させないとエンジンすらかからない。それは陸空問わずそうなってる。これによって事故や事件を減らす目論見らしい。
まぁ……違法車なんてものが生まれることになったんだがな。
「それでも不慮の事態はさけられます。お年寄りの踏み間違い事故なんかは特に」
「そうはいっても周りを破壊するからな。他の要因で怪我をする可能性はある」
深い溜め息が耳に入った。
「それをいい始めたらすべて事故の元ですよ。調理用具が凶器になったり、スマホが盗撮道具になったり使い方で危険になるのは多いんですよ」
「そうだな。失言だった」
もう兄さんはいつもそうなんだからと先を歩く妹の後を、俺はいつ免許取れるのだろうかと追いかけた。
兄と妹 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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