勇者と魔王

バブみ道日丿宮組

お題:光の外側 制限時間:15分

勇者と魔王

 勇者だから光属性、魔王だから闇属性というのはただの言いがかりだ。

 とはいえ、統治し始めた魔王はかつての勇者。世界がつまらないからといって征服しはじめた。当時は魔王と呼ばれるものがすべて倒されてしまってた。

 そのため勇者が魔王になった後対策できることは何もなく世界はひれ伏した。

「案外簡単なものだったな」

「おかげで私たちも魔王軍になったじゃない」

 魔王の側近であるかつての戦友である魔法使いは愚痴をこぼす。

「ノリノリで城を攻撃してた奴が言えることじゃないな」

「そりゃイヤラシイ目で見てくる兵士を痛めつけられるっていうならやるしかないでしょ?」

 はぁと僧侶はため息。

「だからといって更地にしていいことではありませんよ。まぁ魔王の子種は欲しかったので僕は構いませんが」

 大きくなったお腹を擦る僧侶は母の目をしてた。

「それはあんただけじゃない。おかげで時期魔王は決まったものよ」

「文句あるならあなたも孕めばいいのですよ。魔王はうまいですよ」

「な、なななななに言ってるのよ! だ、れ、が、こいつと! するか!」

 魔王は側近同士の言い争いを黙って見つめてた。

 心情は魔法使いもそろそろお腹が出てくる頃だからバレるのも近いな、と。

「何にしても魔王のおかげで貧富の差がなくなったのは間違いないです」

「それは勇者時代から危惧してたことだからな。対策ができてよかったよ」

 話題が変わったので口を出す魔王。その評定は喜々としたものだった。

「魔王は何もない村で生まれたものね。あたしは格差ある城内で、僧侶はどこだっけ?」

「僕はなんの面白みもない街でしたよ。魔王がこなければ旅にも母にもならなかったと思います」

「それは良かったわね」

 はいと僧侶は幸せそうな笑み。

「誰かが闇に落ちるのは嫌だった。これからは誰しもが光を持っていける」

「魔王のセリフじゃないわね。生贄とか要求しないわけ?」

「魔王プレイがしたくて魔王になったわけじゃない。つまらない世界を壊すためには必要だった」

 はぁと今度は魔法使い。

「確かにいろいろな生活がいろいろな場所で生まれてます。この魔王城にも新しく人が入ってきたりしてます」

「みんな魔王に憧れて勉強しにきてるんだっけ?」

「はい、統治学やら自然科学を城で働きながら学んでます」

 加えるように魔王は、自分の故郷で経験を活かすためになと口を挟んだ。

「もうすぐです。もうすぐ真の意味で平和が誕生するのです」

「平和かぁ。平和を壊した人間がいうものじゃないわね」

 そうですねと魔法使いと僧侶は笑う。

「さて今日の仕事をするとしよう」

 魔王は立ち上がると、二人を伴い会議室から外に出た。

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勇者と魔王 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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