第19話
「へぇ〜白愛ちゃんってチェスとかできるんだ〜」
「家だといつも1人で暇なので···」
「勉強とかはしないの?」
「そうですね、テスト前とかはするんですけど普段は···」
「えーすごーい!私もテスト前しかやらないけど赤点ギリギリだよ?」
「お前のテスト前って言うのは一夜漬けだからな···」
「え?違うの?」
違うだろ···
普通なら2週間前とかじゃないのか?
「私は1週間前ぐらいからですね··」
「すご!私なんて前に1週間前からやろうとしたけど結局グダグダしてたもんー」
「そうなんですね、」
寧々の興味が小鳥遊さんに移ってくれたおかげでややこしい話をしないで済んだ事に俺は安堵の息を吐く。
「そういえばラブレターの話はいいのか?」
「あ!忘れてたよ!」
おのれ、敦也!なんてことをしてくれやがる!
「それでそれで?あっきーが振っちゃったんだっけ?」
「違うわ!まだ振ってすらいねぇよ」
「ん?どゆこと?」
「それがな····」
敦也が俺の代わりに手紙が昨日のものであったために誰が送ったかもわからないなどの事を寧々に教えた。
「なるほど〜まぁ結局、あっきーがチャンスを無駄にしたことはわかったよ」
うんうん、と頷きながら寧々は納得した素振りを見せる。
「それで今日の放課後に一応行ってみるの?」
「あぁ、まぁいないだろうから確認したらすぐ帰るけどな」
じゃないと、小鳥遊さんと一緒に帰る約束を破ることになるしな···
「いたら告白受けるの?」
「いや?今は勉強で忙しいからな」
「じゃあ小鳥遊さんに告白されても?」
「それは····」
小鳥遊さんの方を見てみると少し悲しそうに俺がどう答えるかを待っていた。
「そうなった時に考えるよ」
「へえ〜」
なんだよ、その意味ありげな視線は···
だが、それからは小鳥遊さんを交えていつも通りに最近のニュースの話題などを話していた。
◇▢◇▢◇
時間は少したって今、5時間目の開始の合図がなった。
「それじゃあ、秋山くん、小鳥遊さん、お願いね?」
先生はそれだけ言うと俺を席から追い出し、仕事の疲れをぷはぁと息を吐き出しながら俺の席にペタリと座り込む。
「子供じゃないんですから···」
「知ってる秋山くん?30代ってのはね?あらやだ、まだあなた若いじゃない〜と、もういい歳した大人なんだから〜って挟まれて苦労する年齢なのよ?」
「知りませんよそんなこと···」
とりあえず、先生は放置して小鳥遊さんともう一度決まったことを確認する。
「それで、出てくるお化けがそう言うのでいいなら、テーマは普通の妖怪が出てくる奴でいいってことか?」
「ん?律、どういうこと?」
「だって廃病院とかに妖怪が出てきたらおかしいだろ?」
そういうと皆んなが納得したように頷く。
廃病院とかを使って血まみれの白衣を着た奴でを出したりするのはお化け屋敷と言うよりホラー屋敷だしな。
「じゃあ方向性も決まった事だし、今日は来週からの役割分担を決めるでいいか?」
これにもみんな頷くので俺は話を進める。
「じゃあそうだな当日のは後で決めるとして今は来週からの分担を決めるか、まず欲しいのは買い出しと内装、外装とお化けの衣装とかくらいか?」
「あ、あと小道具とかもあった方がいいんじゃないですか?」
「そうだな。
それじゃあ、買い出しは3、4人でいいか?」
「「意義なーし」」
「じゃあ外装と内装はあまりでやるとして衣装なんだが小林さん、頼める?」
小林さんというのはこのクラス唯一の手芸部だったので適任だと思い俺は指名した。
「私は大丈夫だよ〜あ、でも1人か2人欲しいかも!」
「分かった、じゃあ裁縫ができるって人いないか?」
正直、1人は裁縫が得意なやつは知ってるが受けてくれるかは分からないのでとりあえずクラスのみんなに聞いてみるが、やはり手は上がらない。
「ど、どうして···裁縫は楽しいのよ?なんでみんな···」
小林さんがなにか一人芝居をやっているが一先ず無視して俺は彼女の目の前に立つ。
「なに?」
「長篠さん、やってくれないか?」
「なんで私が···」
「長篠さん、確か裁縫が得意だったでしょ?」
「覚えてたんだ」
「忘れるようなことでもないからな」
ほんの一時であったが、俺たちは4人で彼女の笑顔を取り戻すためにいろんな所へ行って遊んでいたんだから。
しかし、高校に上がるにつれて彼女は高校デビューをしたのか、派手になっていき、そういう友達ができてから俺とは全く喋らなくなったが、険悪な仲という訳でもないのだから。
「なに?美紀って裁縫とかできんの?ウケるw」
「ちょっとだけよ。前に暇だったからやってただけ。
はぁ、それで?私にやれと?」
「強制はしない、出来ればやって欲しい」
「私は別にいいけど、あっちはいいの?」
そう言って美紀は小林さんの方を見たので俺も同じように見てみると、小林さんはこっちを見てブルブルと震えていた。
そりゃ、何も知らない人からすると美紀はギャルで怖がったりもする。
だが、美紀なら他の奴らとは違って大丈夫だと俺は確信していたのでそれでも尚、と頼んだのだ。
「まぁ、聞いてくるよ」
そう言って俺は小林さんの元へ行く。
「小林さん、長篠さんじゃダメかな?」
「わ、私とって食われたりしない···?」
するわけないだろ···
「アイツなら大丈夫だから」
「あ、秋山くんがそこまで言うなら···」
「ありがと!」
了承を得た俺はもう一度美紀の元へ戻る。
「いいってさ、」
「はぁ、なんで私が感謝しなきゃ行けないような流れなの?手伝ってあげるんですけど?」
「わかってるって、助かるよ」
そうして他の役割もその後、スムーズに決まったことでお化け役なども決めることが出来た。
まぁ、俺と小鳥遊さんは実行委員だから、色んな所を掛け持ちって感じでやらなければならないのだが···
それに、当日の予定を後で連絡してもらうので、それを使ってシフト表を作らないといけないのだ··
はぁ、しんど、
「じゃあそういうことで今日のホームルームは終わりなんで、青山先生··」
うわ、この人寝てる!ってことで俺は思いっきりデコピンをする。
「いった!!ちょっと秋山くん何すんのよ!」
「あなたこそ何やってるんですか?ロングホームルーム終わりましたよ?」
「え?あ、本当だ!ごめんごめんーじゃあみんな明日も授業、頑張ってこうね〜」
この人のホームルームは本当に軽いんだよな···
連絡事項とかないのか?
だが、もうそんなことはクラスの皆慣れているのでそのまま帰っていく。
なので俺は一先ず小鳥遊さんのところに行く。
「小鳥遊さん、悪いけどちょっと待っててくれない?」
「いいですよ」
それから俺は屋上へと登る。
この学校では屋上に入るには一応番号を知ってないと入れないように鍵がかかってるのだが生徒は1年生であろうと全員知ってしまっているし、その事を知ってても先生達はなんともしないので常に開いてるのと変わらなかった。
階段を上がると俺は甲高い音を出しながら錆び付いたドアを開けると外の風が一気に俺に向かってくる。
その奥には···
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