第11話

「なるほどな」

パタンとメモを閉じる。片手でやるには難しかったが、これから慣れていくんだろう。

「で、その潜入捜査をするために俺はここに来たんだな。しかも、全てが分かっていたから、俺は腕を切り落としたうえでうまくやっていくことが出来ることも考えたわけだ。」

「まあ、そう理解するのが自然ですよね。」

何か引っかかるような言い方をされる。

「自然?」

「ええ、まあそう捉えるのが一般的と言いますか、まあそういうことです。」

「何か違和感があると?」

「ええ、同業者と思って助けたのですが、同業者じゃなかったものでびっくりしているんですよ。」

少し意味が分からなかった。どうみても突入取材するジャーナリストではないか。同業者だと思われるのだが。俺は男をにらみつけた。

「では、メモの最後のページを見る前にあなたの名前をお聞きしても?」

何だメモの最後があるのか。そう軽く小言を言おうとしながら俺は自分の名前を口に出しかけて戦慄した。

俺は、べったりと糊付けされて開かないようにしていたページを無理やり開いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る