散歩者
夜の散歩中
森の中で沼を見つけた
ほとりの木から
男が逆さにぶら下がっている
水面で
満月がゆれる
〇の中で
眼窩から落ちる雫が
金魚の様に、おどっている
注ぎつくした夜
生れ出た水へ還る
そんな話を男は
ぽたりぽたりと語った
気の長い話ですね
と言うと
乾いた唇で
ふわわ。と笑った
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