未完

@87648374763

未完

 僕は今、運命的な恋をしている。始まりは先月の休み時間の時だった。僕はいつものように昼食を自分の席でとっていたのだが、そこに彼らがやって来た。


 そう彼らだ。いつも僕を下に見てくるイヤな奴らだ。「こいつマジで良い奴だから。何しても許してくれっし。」「マジ?ガンジーじゃん」「笑うわ」


からからから


へらへらへら


 邪知暴虐な彼らに僕は屈してしまい毎日仮面をかぶって苦笑いする日々が続いていた。もちろん頭の中では相手をロジカルに言い負かしたり塩田剛三並みの合気道を用いて征服したりしていたんだけど、現実は厳しい。何か言ったところで何マジになってんの?と言われて終わりだろうし。武力を持って~なんてもっての他だ。僕は喧嘩もしたことがないし虫も殺せない。


 だから、その日もへらへらと愛想笑い浮かべて学校が終わるのをやり過ごすはずだった。でも違った。僕のヒーローはいや、僕のヒロイン(予定)は颯爽と現れてすべてを解決していった。本当に一瞬の出来事だった。彼女が一言二言彼らに何かを告げたら、あろうことかいつも僕をいじめていた彼らが謝罪しだしたのだ。何が起きているのか全く分からなかったが本日のいじめ会場はその場でお開きになった。


 僕はすぐに彼女を追いかけた。


 「ちょっと待ってよ」

 階下から見上げるような形で彼女を引き留めた。

 「何?」

 「あ、いや、お礼。お礼言おうと思って……」

 「……別に、お礼言われるような事はしてない」

 「そんなことないって!」


  興奮していたためかいささか声が大きくなった。彼女は少し驚いたようだったが首を横に振るだけだった。


 「でも本当に感謝してて、僕毎日あんな感じだったし、最近は学校行くのも怠いな~とか思ってて、そもそも何でああいう人たちってあんなにつまらないことをしたがるんだろうね。生きてて人が嫌がることはしちゃいけないって習わなかったのかな。理解不能だよね。マジで」


「私、何も考えないで生きてる人って嫌いなの」  



 は?



 「だってそうでしょう。あなたは自分が標的になってる理由がまるで分っていない。少し考えれば分かるはずなのに。それに人が嫌がることをしちゃいけないって習わなかったのかってあなたは言うけれど、普段あなたがインターネットでやっている行為は人を傷つけることにならないの?」


 「………は?」


待て、なにを言ってるんだ。この女。何で僕がインターネットやってる行為なんて分かるんだ。


 「不思議そうな顔してるわね。でも安心して。別にあなたのストーカーって訳じゃないから」

 「なら何で……」

 「ただのあてずっぽう。そういうことやってそうだもの」


──────ぷつん、何かが切れた


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