第10話 準備は十全に整った

「眠い」と朝の教室で項垂れていた集の周りには当たり前のようにチームメイトが集まっていた。零次が仕切り今後の方針を決めているようで集はつまらなそうに窓越しに外を眺める。


「俺と沙耶はいつものトレーニングメニューを進める予定だけど問題は和希と千秋か~」


 トレーニングに入る為の下準備を終え早速、朝からトレーニングメニューの話題だ。


「俺には秘密兵器があるから特訓なんていらないぞ」

 弓を肩にかけ、どこか誇らしげの和希だが零次から渋い顔を向けられていた。

「ならと言いたいがそれじゃ千秋の訓練に繋がらないから却下だ」

「あの……」とのっそり手を挙げた千秋が沙耶の影から顔を出す。

「私なら大丈夫ですよ」


 控えめな口調に「あのバカに遠慮することないよ」と沙耶が食いついた。


「千秋を泣かせたら張り倒す」


 胸元の握りこぶしを握り姿に和希が集に抱きつく。


「集。どうしたらいんだよ」と制服の襟を引っ張られうめき声をあげた。

「まずは話をしてくれ」


 顔を上げた集は口を開いた。


「問題点はよくわかった。ならいっそのこと千秋を的にすればいいんじゃないか」

「いやいや」と零次から耳を引っ張られる。

「集も見ただろ?缶を貫くほどの貫通力だぞ。危ないって。ねぇ千秋さん」


 千秋は横に首を振る。


「モルモットになるよりは一撃死の方が楽じゃない?」沙耶の楽観的な話っぷりに零次は額に手を当てる。

 非人道的な話にどう納得したのか「やるよ。みんなの為にも」と千秋は意気込んだ。

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