内通者Ⅱ
黒虎と沙耶音の戦闘から少し遡る。
久嗣はリリスの手を掴み、目的地へと急ぐ。
「ちょっ、久嗣!あの子一人に任せて大丈夫なの!?」
「ああ、あー見えてあいつは強い」
「そうは見えないけど」
「はっきり言って俺はあいつの実力は正確には分からない。少なくとも俺より才があって強いのだけは知っている。正直俺は沙耶音や彩姉が羨ましかった。自分よりも才があって実力もある。昔は二人のことが嫌いで仕方なかったでも今は違う。今は二人とも家族のように大好きだし信頼してる」
「あっそ。確かにあんたの言う通りね。あの子のこと見くびりすぎてたわ。私達は私達の任務を優先するわよ」
「ああ!」
止めていた足を動かし、もう一度走り出す。
「はぁ、もう長い廊下ね」
かれこれ十分近くこの廊下を走っているが目的地へたどり着けない。
「何かがおかしい。まるでこれは同じところを行き来しているような感じがする」
ふと二人は立ち止まり周りを見わたすが誰もいない。
「久嗣、あんたは先を急ぎなさい。どうやら相手は私を誘っているみたい」
「いきなり何言ってんだ」
「いいから行けって言ってんの!!」
リリスは久嗣を蹴り飛ばし、"霊装"を具現化させ構えた。
「この私に気づくとはね、、流石は"獄炎の女王"」
頭の中に響き渡るように声が聞こえる。
「気持ち悪いわね。誰よあんたは!!」
炎を纏った剣戟を辺りに繰り出すが反応はない。
「当たってないわよ〜、はい雑魚乙〜」
「こんっの!!煉獄の炎を以って灰燼と化せ、"
リリスの放った剣戟によって周りを一瞬にして炎の海と化し、上から女が落ちてきた。
「ば、ばけも、の」
「この程度で私を倒そうだなんて百年早いわ。久嗣の姉の方が全然強い」
そう言い残しリリスは何故か幼い姿になり、追いついた沙耶音によって回収された。
「お疲れ様です、リリスさん」
「沙耶音、ありがとう。無事だったのね。久嗣の言った通りだったわ」
「久嗣様の?」
不思議そうな顔でリリスを見つめる沙耶音だがかなりの戦闘だったのか服のあちこちが破れ、綺麗な白い肌が見えている。
「そうよ。あいつが沙耶音は俺より強いだから負けないとか何とかって言ってたわ」
「久嗣様がそんなことを!?」
「ちょ、沙耶音!?何泣いてんのよ!」
座り込み沙耶音が突然泣き出した。
「だって、、だって!久嗣様がそんなこと言うなんて思わへんかったもん!!」
沙耶音からは想像もできない訛りがでた。
「ちょ、さ、沙耶音!キャラ崩壊してるわよっ!」
小さくなった手でリリスが沙耶音の頭を撫で、慰める。
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