襲撃者Ⅲ
黒い瘴気が徐々に薄れ、中から黒い羽根の生えた少女が現れ久嗣はどこにも見当たらない。
「てめぇ、兄弟をどこへやった!!」
銀上が殴りかかるがひとりでに吹き飛ばされた。
「何、この、とてつもない嫌な感じ」
リリスは身体を小刻みに震わせしゃがみ込んだ。
「我等が王よ、貴方をお待ちしておりました」
その少女の前にルイーナが平伏す。
「汝は何者ですか?」
「貴方がかつて創設された組織、人類救済機構"ケルベロス"の三代目元首、ルイーナ・ヒューストンと申します」
「オン ウラハ 、、」
御札のようなものを持った沙耶音が現れた。
「次から次へとっ!」
ルイーナが沙耶音へ見えない斬撃を与えるが痛みを感じていないかのように無反応だ。
「人間風情が我を封印できるとでも?」
「悪しき神、コクジャノミコトノオオカミ。ここで消えなさい。オン ウラハ アルバディ ソワカ」
沙耶音が悪を払う呪言を唱えると突然鎖が後ろから現れ少女に巻き付き、箱の様なものへと飲み込まれた。
「余計なことを」
ルイーナが箱に触れようとするが銃弾が肩を掠めた。
「触れさせはせんぞ、ルイーナ」
ルイーナを囲むように拳銃を持った烏丸と着物を着た中年の男が現れた。
「へぇ、まさか君まで出てくるとはね。"九焔"、"冥府ノ剣豪"、轟蓮摩」
「出てくるつもりはなかったんだが上がいちいちうるさいんだよ」
轟はあくびをしながら
周りの残党を蹴散らし、手に持っていた焼酎を飲み干す。
「観念しろ、ルイーナ。お前に逃げ場はない。あったとしても私の生徒を殺したお前を生かして帰すつもりは毛頭ないがな」
ルイーナの立っていた地面がいきなり抉れ、大穴が開き、瞬時にルイーナは移動した。
「忘れていたよ。君は"空間ノ魔女"だったね」
轟が斬撃を繰り出すがどこからか放たれた斬撃が両者の間に氷を造り上げた。
「ルイーナ様、お時間ですのでお戻りください」
空から現れた鎧を着た雪のように綺麗な女性がルイーナを抱える。
「逃げるのか!!ルイーナ!」
「いずれまた会うことになると思うよ。ボクの目的は世界と人類の救済だからね」
再び光の粒となって消えていった。
烏丸が周りを見渡すと原型を留めずに崩壊したショッピングモールと息絶えた彩葉、傷だらけの生徒と教師が視界にうつる。
目の前には謎の女を封印した箱がありそれに触れようとしたら轟が咎めた。
「やめとけ、姉ちゃん。それはもう俺たちの知る久嗣じゃねぇ。そいつは諸悪の根源そのものだ。触れれば心から汚染され、精神を保てなくなる」
轟はそう言うと煙草を吸い始めた。
「久嗣様、、、」
沙耶音は崩れ落ちるように座り込み、涙を流す。
「かなり厄介なことになったもんだな。こりゃあ給料の減額確定だな」
轟がお酒の入った瓶を取り出し、口へ流し込んだ。
そして、ヘリコプターが近くに着陸した。
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