襲撃者Ⅱ
巨体から元の人間へと戻った男は血反吐を吐く。
しかし、既に限界に達しているのか起き上がる気配はない。
「・・してだ、、どうしてだ!人間を超えた私がなぜ貴様らみたいな下級生物に負ける!!」
男は張り裂けそうな声で叫ぶ。
「力だけじゃ誰もついては来ないしいずれ敗北する。たとえ弱くても人は誰かと一緒にいるただそれだけで勇気が出る。お前には仲間がいなかったお前を信頼して後ろからついてくる人がいなかった。それだけが兄弟に負けた理由だ」
「仲間、だ、と、、そんなことで私が負けたというのか、、、そういうことか、、私は家族を捨てたから負けたのだ、な」
息絶えた男の手からロケットが零れ落ちた。
ロケットに入っている写真には男とその家族が写っていた。
「ふむ、予想以上の実力だよ。
拍手と共に現れたのは幼い容姿をした少女だ。
「誰だ、あんた」
「人に尋ねる前に自分から名乗るべきでは無いのかね?少年」
「どこぞの誰かもわからねぇやつに名乗るなはねぇんだよ」
「確かにそうだね、、ボクは世界救済機構"ケルベロス"が元首、ルイーナ・ヒューストンだ。君は特別にボクのことをルナと呼んでくれて構わないよ、"月叢一族"の生き残りくん」
「"ケルベロス"?、、月、む、、ら?、何の話をしているんだ?あんたは」
「うむ、これは驚いた。記憶を失っているのか、、折角君の家族を目の前で殺してあげたのに、残念」
ルイーナは不気味な笑みを浮かべる。
「あなたが誰だか知らないけど久くんを傷つけるというのなら私が許さない!」
「最強の剣豪、如月幸四郎の孫娘か。邪魔をしないでくれないかな?」
見えない刃が彩葉を斬り裂き、血飛沫きが久嗣にかかる。
「あや、、ね、え?彩姉!!」
倒れそうになる彩葉を久嗣が受け止める。
「ごめん、ね、、ひ、、さ、く、、ん」
「もういい!喋るな!」
絶え間なく傷口から血が溢れ出し、久嗣がそれを必死に抑え止める。
「やく、そ、く、、ま、もれな、く、、て」
彩葉は最後の力で久嗣の頭を撫でるとゆっくり目を閉じ、息絶えた。
「如月の血はこれで終わりだね。どうだい!今の気分はさ!」
ルイーナが腹を抑えながら笑い続ける。
ふと、久嗣の脳裏に香織の死に際、火に包まれる誰かの姿を思い出す。
「あ、、あ、あ、あ、、ああああああああああ!!」
叫び出す久嗣を包むように黒い何かが覆い尽くす。
「つ、ついに誕生する!全てを滅ぼす世界の終焉が!ようやく、ようやく人類が救済される!!」
ルイーナの周りにいた鎧の男達が消えていく。
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