崩壊と再生Ⅰ

久嗣が目を覚ますと見知らぬ真っ白い天井と壁が視界に入った。

身体は鎖でベッドに固定され身動きが取れない状態になっている。

扉一枚あるだけで窓とかはなく、気持ちの悪い空間で吐き気がしそうだ。

『君は何故、捕らえられているか分かるかい?』

天井にあるスピーカーから男の声が聞こえる。

「・・・」

久嗣は思考をし、自分に何があって何故この場所でベッドに縛り付けられているのかを考える。

『分からないようだから教えてあげよう。君は自身の義姉である如月彩葉を殺し、悪神をその身に降臨させ、更に国際テロリスト集団"ケルベロス"をこの国へ招き入れた。これだけでも君は国家転覆の罪だ。本来であれば処刑だ、しかし我々もそこまで鬼ではない。よって君の討滅官としての資格を永久凍結とし君を第八監獄へ収監することとなった。今はそのための準備期間というところだ』

「彩姉、、、、あ、あ、ああ、、ああああああああ

あああああ!!!!」

久嗣の体から黒い瘴気が溢れるがそれに反応したのか壁から無数の槍が飛び出し、彼を突き刺す。

しかし、傷口はみるみるうちに再生した。

『ほう、再生するとはね。まぁ君はここから抜け出すことは出来ないよ』

そう言い残しスピーカーが切れた。

「・・・」

彼はそこから何時間も暴れては死ぬを繰り返し、彼の目からは光が消え、抜け殻になったかのようにソファーへと倒れ込む。

何日経ったのか分からず今がいつなのかも分からない状態で運ばれてくる飯には手をつけず、死ぬことも無い。

彼を心配する家族は既に死に、彼に声をかける仲間もここにはいない。

心の中にあるのは絶え間なく襲いかかってくる憎悪だけ、誰の顔も思い出せない。

いつしか光さえも彼にとっては恐怖の対象となり、

昼夜問わず布団の中で身を潜めるようになった。

夢を見ても燃え盛る火の中で自分の名前を叫ぶ少女の光景、香織が殺された光景、彩葉が殺された光景しか映らなくなり、夢も光も生きていることさえも恐怖と憎悪を抱き、その度に自分の中の何かが暴走し死ぬ。その繰り返しだ。

『壊れるのもあっけないものだな。所詮は、、、き、貴様ら何をするっ!邪魔だ!』

スピーカーから争う音が聞こえる。

その音が消えるのと同時に扉が開き、数人の人影が部屋へと入ってきた。

「なっさけない顔してるわね、バカ久嗣」

「彼も大変だったんですよ、こんな事言ってはいけません!」

声のした方へ久嗣が振り向くとそこには見覚えのある人間が数人立っていた。

数ヶ月ぶりに見た人間に対してなのかそれとも心の奥底で微かに信じていた仲間の助けに対して泣いたのか分からないが彼は抑えきれない涙を拭いながら近寄るがあまり動いていないせいで派手にこける。

しかし、確かにそこに自分を信じて助けに来てくれた仲間がいた。

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