仲直りⅡ

寮へ戻ると中には段ボールが大量に置かれ、前がほとんど見えない。

とりあえず久嗣は段ボールを左右によけ道をつくる。

「はぁ、はぁ、重い。誰だよ、こんなに荷物持ってきたバカは!!」

「バカで悪かったわね」

自分たちよりはやく帰ってきていたリリスは私服を着ていた。

「はぁ、お前なぁ帰ってきてるなら片付けろよ。誰も通れねぇだろうが」

「リリスさん、だらしないですよ。しかも久嗣様に迷惑かけて何様のおつもりですか」

「王女だけど文句ある?」

沙耶音とリリスが睨み合う。

「二人とも落ち着けって」

「久嗣様に手伝ってもらえるだけ有難いと思いなさい!」

と沙耶音の伸ばした手が机の上に置いてある写真立てを落ちてしまう。

「ー!」

落ちた写真立てを沙耶音が拾おうとするがその手をリリスが振りほどく。

「ごめんなさい」

「、、、て、いいから出ていって」

「睦月様、ここは私に任せてください」

リビングに戻り、椅子に座る。

「今回はお前が悪い。沙耶音」

「・・・」

「お前が俺のために言ってくれたのはわかる。けど、もう少し周りを見るべきだ。ちゃんと後でリリスに謝れ。俺も一緒に謝るから」

「はい。少し外に出ます」

沙耶音が寮から出ていった。

「リリス様は落ち着きました」

リリスの部屋からユリアがでてきた。

「悪いな、お前のおかげで折角あいつとは仲直りしたのにまたこんなことになって」

「お気になさらないでください。慣れてますから」

とユリアと話をしていると泣き腫らしたリリスが椅子に座った。

「あいつは?」

「あー、沙耶音は気分転換で外に出た」

「あっそ」

「ほんとすまん。沙耶音も頭に血が上るとすぐに周りが見えなくなる。しかも頑固でぶっきらぼう、でもあいつは好きで人を貶したり馬鹿にするような人間じゃない。だからあいつの事は!」

「ごめんなさい!!」

バンっと勢いよく扉が開き、汗だくの沙耶音が入ってきた。

「さ、沙耶音!?」

「久嗣様のことを悪く言われるのが嫌で頭にきて。本当にごめんなさい!!」

「別にいいわよ。私もごめん、写真立てが壊れただけであんなに怒って」

二人が仲直りとして握手をする。

「それで沙耶音、お前はどこに行ってたんだ?」

「写真立てを壊してしまったので近くのSAISOで写真立てを買いに行ったんです」

「そうなのか。まぁとりあえず風呂入ってこい。そんな汗だくだと風邪引くだろ」

「は、はい!」

沙耶音は部屋から着替えの服を取り、脱衣場へと走っていった。

「何見とれてんの?」

「いや、沙耶音のあんな笑顔みるの初めてでさ」

「えっ?」

「あいつ昔っから笑顔を見せないしいつも暗い顔してるからさ」

「意外、あんなに久嗣に対して真っ直ぐなのに」

「真っ直ぐ?なんの話だ?」

「何でもない。独り言よ。てか、あんた人に暗い顔とか言ってるけどあんたも大概よ」

「そうっすよ、睦月先輩」

いつからいたのか台所から少女が出てきた。

「影丸、お前一体いつからそこにいやがった」

「えっとすね、先輩の「今回はお前が悪い。沙耶音」って所からっす」

「最初からじゃねぇか!」

「こ、これがジャパン忍者っ!?」

リリスとユリアが目を輝かせている。

「申し遅れたっす!睦月先輩の一個下で武蔵影丸と言うっす。よろしくっす!」

影丸が挨拶すると二人がかけより質問攻めをし始めたと同時に久嗣はラウンジへ出た。

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