第一章 最強最弱の討滅官

冷徹王女

理事長と書かれた部屋へ学生服を着た少年が入ると理事長と少女二人が居た。

「えっと何の用件ですか?」

「今から話す。睦月、お前にはこの二人の護衛兼ルームメイトになってもらう」

「ちょっと待ってください!久嗣様が護衛を行うのは百歩譲ったとして何故久嗣様がその方々のルームメイトになるのですか!」

と久嗣が口を出す前に従者である沙耶音が口を出した。

「連盟が出した条件がそうなんだから仕方ない。そういうのは私ではなく連盟会会長に言ってくれ」

「ぐ、でもどうして久嗣様なのですか?他にも適任はいるはずですよね」

「ああ、睦月以外に候補者が三名いたんだがな。先日、何者かによる襲撃で三人ともが再起不能で危篤状態に陥っている」

「「!?」」

「一体誰がそんなことを!」

「現時点で可能性が高いのは世界的テロリスト集団"ケルベロス"だな」

「待ちなさい。私が守られる前提で話されても困るんだけど?」

ピンク髪の少女が睨む。

「君は討滅官とはいえ、大国・テリストニア王国の第2王女。この日本はかつては世界的な平和国家と呼ばれていたのは確かだが今や世界有数の犯罪国。王女を護衛無しで野放しにするのはあまりにも危険」

「そうですよ。リリス・ミア・テリストニア第2王女殿下。私も貴方も討滅官である前に一国の王女、護衛無くして自分の身を守りきる自信はありません」

銀髪の少女が口を挟む。

「それはあんたでしょ?ユリア。私は私の身くらい自分で守れるわよ」

「日本に来る前に襲撃にあったのはどちら様でしたっけ?」

「なに?喧嘩売ってるの?」

二人が睨み合い、空気が重たくなる。

「はぁ、めんどくさ。理事長、こんなどうしよも無い二人を護衛するのはめちゃくちゃです」

「そうね、あんたみたいな雑魚に守られるほど私も落ちぶれてないわ。それに私を守ろうとしたやつも弱いから死んだのに。日本人は無駄死にが好きなのね、ださっ」

「てめっ」

久嗣がリリスの胸ぐらを掴んだ

「何すんのよ!」

「無駄死にだと、、?ふざけんじゃねぇぞ!王女はそんなに偉いのかよ!てめぇに何の権利があってお前らを守ってきた人間のことを侮辱する!俺を馬鹿にするのは構わねぇよ。けどな、お前のことを守ってきた人間を侮辱すんのはちげぇだろうがっ!!そいつらにだって家族がいたはずだっ!そんなヤツらが自分の命をかけてお前を守ったんだ!」

「ひ、久嗣様!落ち着いてください!」

沙耶音が久嗣をリリスから引き剥がす。

「ちっ、、」

と久嗣は理事長から出ていった。




廊下を歩いていると携帯がなり、電話をとる。

『久嗣か、わりぃな。いきなり』

「この声、、あんたか。バカ師匠、何の用だ」

『バカ師匠とはひでぇな、まぁいい。お前に本部直轄の命令が出た』

「面倒くさ。命令って?」

『一昨日くらいに本部直属の準特級討滅官三名が何者かによる襲撃を受けた。で、恐らくそいつは、、』

「ちょっと待て。まさかとは思うがその討滅官は王女二人の護衛任務を請け負ってないだろうな?」

『ほう、察しがいいな。その通り、護衛任務を請け負った討滅官だ』

「はぁ、、今理事長にその話をされてたところだ」

『くくくくく、そうかそうかそれなら丁度いいこの調査は任せたぞ』

「何言ってんだ、バカ師匠!どうせまためんどくさくて俺に押し付けたいだけだろ!」

『よく分かったな。ってことでじゃあな』

男は笑いを堪えながら電話を切った。

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