第一部 光と闇
プロローグ
燃え盛る炎の中、一人少年は歩く。
焦げた肉の臭いが充満し、鼻がもげそうになる。
それと同時に吐き気も襲ってくる。
屋敷の扉を開けるが熱風で息がしづらい。
奥まで入ると両親が倒れ、周りの壁には血が飛び散っていた。
妹の部屋へ入ると妹も血だらけになり倒れていた。
「手間取らせやがって」
リビングへ戻ると部屋から出てきた男の手には血で染った刀が握られていた。
「よくも父さんと母さんを!!萌愛を!」
少年は台所にあった包丁を取りだし男たちへ襲いかかるが大人の力には叶わず、床にたたきつけられる。
「ガキが調子に乗ってんじゃねぇぞ」
男が少年を踏みつけようと足を上げると何故か襲いかかってきた男の方が吹き飛んだ。
「どこの誰だかは存じ上げませんが貴女方を拘束させてもらいます」
後ろの方から現れた女性が次々と男達をなぎ倒し、手錠をかけていく。
「てめぇ、何もんだ!」
拘束された男が女性へ怒鳴る。
「貴女方のような下衆に名乗る名はありません。無事ですか?」
手を差し伸べてくれた女性は女神のような神々しさを放つ。
「と、うさんと、かあ、さ、んが、、」
喉が潰れたのか掠れる声で両親の遺体のある場所へ移動する。
「なんて、酷い、、、一体誰がこんなことを、、、」
女性は現状を見て絶句する。
燃え続ける家にそこら中に倒れている遺体。
少年の家族と思われる二人の遺体も奥の方から確認できた。
正しく地獄絵図。
生き残ったのは少年一人というあまりにも酷い現実。
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