第17話 新事実
「えっと亜紀?今お前高校通ってないの?」
「うん、そうだよ」
俺の質問に亜紀はあっけらかんと答える。
「じゃあ今日亜紀ちゃんどこに行ってたの?」
確かに今日亜紀はどこかへ行っていた。
制服を着ていなかったからてっきり私服登校の学校なんだなと思っていたけれど。
「今日は下森高校に編入の手続きをしに行ったの」
「あれ?手続きって親同伴じゃなかったっけ?」
ほかの学校ではどうだか知らないが、下森高校では確か親同伴じゃないと引き受けてくれないとあった。
一人暮らしの亜紀にここで頼れる大人はいなかったと思うのだが・・・
「それならこーくんのお母さんにやってもらったよ」
「はぁ!?母さんに!?」
俺はこれ以上ないほど驚いた。
隣を見ると雫も口をあんぐり開けて驚いている。
「なんで!?どうして!?」
「詳しいことは直接私に聞いてってこーくんのお母さん言ってたよ」
「康太!今すぐ母さんに電話してきて!!!」
亜紀の言葉を聞いた雫が凄まじい顔で言ってくる。
まぁ今の言葉を聞いたら、言われなくてもかけるけどさ。
別室に行き、母さんに電話を掛けるとすぐにつながった。
「母さん何してんの!!?」
『まったくうるさいわねぇ。ちょっとは落ち着きなさいよ』
落ち着きなさいよとか言われても落ち着けることではない。
『その様子だと亜紀ちゃんの編入のことを知りたいのね』
「当たり前だろ!!なんで母さんが亜紀の編入の手続きに行ってんだよ!!」
俺が叫ぶと母さんは声のトーンを抑えて話し始めた。
『これはあんまり亜紀ちゃんに触れないで上げてほしいんだけど、実はあの子を引き取った親戚が亜紀ちゃんを虐待してたみたいなのよ・・・』
「ぎゃ、虐待?」
『それでそれを知った警察にあの子の親戚が逮捕されて身寄りがなくなっちゃったの。だから私たちが養子縁組であの子を引き取ることになったの。私たちは普段家を空けてるけど、あんたと雫は古い付き合いで基本的にずっと家にいるじゃん』
「・・・わかった。そうなると亜紀は俺の義妹になるのか」
『でも義妹は結婚できるからそれは安心してね!』
「それは安心した」
『・・・あの子もようやく報われたんだねぇ』
「なんか言った?」
『いーや。それじゃ私は仕事に戻るから。じゃあね』
電話が切れても俺はしばらく動けなかった。
まさかあの亜紀が虐待を受けていたなんて・・・
そう考えると亜紀が別れ際に流した涙が胸を締め付ける。
しばらく動けないでいたが、過去は変えられないしこれから虐待のことを忘れるくらい俺が亜紀を愛して、幸せにしていけばいいんだと結論付けて、俺は亜紀と雫の待つ部屋に戻っていった。
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どうも始龍です
今回はちょっと重い話になってしまったんですが、亜紀が病む要因になった要素を書かなくては次に進めないのでこうなりました。ほんとはもっと明るくいきたいんだけどねぇ。
実は昨日、新作を投稿させていただきました!リンクは下のほうに貼っておくので、よかったら見に来てください。ちなみに自分の好きなものを全部つぎ込みました。その結果かなりのなろうっぽくなってしまいましたが・・・
今回もこの話がいいなと思ったら応援とフォローのほどよろしくお願いします。皆さんの応援が自分の励みになっています。それではまた次の話でお会いしましょう。
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