第6話 来訪者

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「ねぇこーくん、私そろそろ引っ越しでしょ」


「もう俺たち生まれた時からだから十二年の付き合いになるし、寂しくなるな」


「もうそんな落ち込まないでよ。これでもう一生会えなくなるってわけじゃないんだから」


「そんな泣きそうな顔で言われても説得力ないって」


「だってっ、だって、ぅぅぅ、、、」


「ほら、泣くなって」


「あのね、あのねこーくん。ぜったいいつか帰ってくるから、その時は・・・」


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 美咲が家に来て姉さんが昼ご飯を作っている間、俺と美咲はリビングで近況報告という名の雑談をしていた。


「うわ、こーくんの家来るのひさしぶりだけど全然変わってないな」


興奮しているのか、そわそわしながら家中を見回しながらそんなことを言う。


「二年前からあんま変わってないからな。それで今どこの高校行ってるの?」


「今は西森高校だね」


 西森高校は下森高校から徒歩で30分程離れたところにあるいわゆる姉妹校だ。聞くところによると、西森高校の理事長は下森高校の理事長の姉だとか。

 そんなことを話していると、キッチンからいい匂いがしてきた。


「そろそろできるから机の上拭いといてよ」


 キッチンで料理をしていた姉さんから声がかかったので俺と美咲は話をやめ、机を拭きに台拭きを取りにキッチンへ向かっていった。

 

 食事の準備ができ、ミニ昼食会が始まった。


「雫さん!このパエリアすごいおいしいですよ!」


「ありがとう美咲ちゃん。おかわりもあるからたくさん食べてね」


「姉さんが作る料理はほんとおいしいな」


 今日の昼食はアビージョにパエリアでスペイン料理ずくしだ。姉さんは料理がすごくうまく、もしかしたら金をとれるレベルかもしれない。


 昼食も終わり、俺と姉さんと美咲で談笑していると、美咲がそろそろ帰るというので駅まで送ることにした。


「今日はありがとね、昼食までごちそうになって」


「姉さんも喜んでたよ。美咲は本当においしそうに食べてくれるから作り甲斐があるって」


「雫さんの料理はほんとにおいしかったからね。こー君がうらやましいよ、あんな美人で優しくて料理もできるお姉さんがいて」


「自慢の姉だからね。それより駅着いたよ」


俺は改札まで行って見送ることにした。


「じゃあ今日は楽しかったよ。またうち来いよ」


「うん。ありがとね。わざわざここまで見送ってもらって」


「じゃあな。気を付けて帰れよ」


俺がそう言って帰ろうとすると、美咲が呼び止めてきた。


「あぁそうだ。ねぇこー君ライス交換しよ」


「あぁいいよ。じゃあこれ俺のやつ」


 自分のライスのQRコードを表示させてスマホを渡すと、美咲は少し驚いたようだった。


「スマホそのまま渡すんだ!」


「見られて困るようなものは入ってないからな」


 この世にはUSBメモリという便利なものがあるからな。


「はいできた。ちゃんと返事返してね」


「可能な限りな」


「それ返さないやつ」


美咲は笑ってそういうと電車のベルが聞こえ、急いだように


「あっ!電車来ちゃう!それじゃ今日はありがとね!」


そういって急いでかけていった。


 美咲と別れた俺は、家に帰り姉さんと昼食の片づけをしてのんびりしていると、家のチャイムが鳴ったので宅急便かと思い外に出た。


「久しぶり!!」


そこにいたのは私服姿の、俺と同じくらいの年の女の子だった。


「えっと、もしかしてアキちゃん?」


「そうだよ!!覚えててくれたんだ!!」


 そこにいたのは小学校の時に親戚に引き取られていった有栖川亜紀だった。

 彼女とは生まれたときからの付き合いでずっと仲良かった子だった。


「おぉ、久しぶり!!元気してたか!?どうしたんだ?親戚のおじさんとこ行ったんじゃなかったのか!?」


「あのね?別れた時の約束を果たしに来たの」


「約束?」


「あれ?覚えてないの?じゃあもう一回言うね」


『こーくん。絶対いつか帰ってくるから、その時は私と付き合ってください』


俺には目の前の亜紀ちゃんが、三年前の幼いころの亜紀ちゃんと重なって見えた。


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 どうも始龍です

 いやすいません。かなり遅くなりました。理由としては、大学のレポートが終わんなかったんですよね。


 さてさて、ようやくヒロイン出せました!ほんとに出したかったからほんとうれしい。


 またこの話がもしよければ応援とフォローしてくれるとほんと励みになるのでよろしくお願いします。

 それではまた次の機会に。








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