第14話
「...隣国へ亡命...ってことか...」
ハインツが忌々し気に呟いた。
「えぇ、可能性は高いと思います。あまり悠長に時間を掛けている暇は無いかも知れませんね。カズミ、念のため24時間体制で監視を強化して貰えるかしら? 人員が足りないなら言って頂戴ね? すぐに手配するから」
「分かりました」
「逃げるとすれば夜だと思うから特に注意するよう言ってね?」
「了解です」
「それと男爵領の出入りと国境警備所の出入りに関しては、特に厳しく監視するように騎士団へ依頼しておくわ」
「俺の方からも親父に言っておくよ」
ヤインツがアズミに続いた。ヤインツの父親は騎士団長である。
「お願いします。他に何かありますか?」
アズミは全員に向き直って問い掛ける。
「いいですか?」
ラインツが手を上げる。
「どうぞ」
「例の魅了の力を籠めた疑いのあるペンダントと香水の件ですが、そのような技術を持つ魔道具士は限られて来ます。少なくとも我が国には存在しないと思われます。魔道具の製造に関しては隣国の方が盛んですから、手に入れたとすれば隣国からでしょう。それも違法に」
「なるほど。あれらも密輸品なんですね?」
「はい、そのような品を輸入するのは許可されていませんから」
「あの女が登校して来たら、ひっ捕らえて強制的に取り上げて調査するっていう手も使えそうですね」
「えぇ、それで魅了の力が籠もっているのを確認できたら即逮捕できます。父に話を通しておきます」
ラインツの父親は魔道騎士団長である。
「分かりました。ありがとうございます。他に何かありますか?」
アズミは再び全員に向き直って問い掛ける。
「いいですか?」
ワインツが手を上げる。
「どうぞ」
「ホヘット嬢の身元に関してですが、教会に来てくれた人達にホヘット嬢の写真を見せて聞き込みを行った所、興味深い情報が得られました」
ワインツの父親は教会の大司教である。
「というと?」
「ホヘット嬢は元々孤児院の出身で、子供の時から窃盗や恐喝の補導歴がありました。そして最近では売春にも手を染めていたらしいです。男爵と知り合ったのもその辺りではないかと」
さすがにこの情報には全員が絶句した。特に男性陣が。
「...道理で男の扱いに長けてる訳ですね...魅了の力を使うだけじゃあなく、女の武器をも駆使してたって訳ですか...そりゃあ男性陣なんかイチコロですわな」
アズミの言葉に男性陣は揃って俯いてしまった。
「まさか誰かお客になったってことは...」
アズミの言葉に男性陣は揃って首を横に振った。
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