第12話
二週間後、一同は再び会議室に集合していた。
この間と同じようにアズミが取り仕切る。当然ながらホヘットは呼んでいない。
「皆さん、お忙しい中お集まり頂きましてありがとうございます。ではまず、経過報告から参りましょう。ナズミ!」
「は~い。結論から先に言いますと、ホヘット嬢と男爵との間に血縁関係はありません。赤の他人です」
「ご苦労様。予想通りだったわね。これで犯罪の証拠を一つ掴めたわ」
「それと身元不明で無縁墓地に埋葬されていた女性ですが、こちらは男爵との血縁関係が証明されました。やはりこちらがホヘット嬢で間違いないと思われます」
「埋葬されていたって...まさか墓を掘り起こしたの!?」
アズミが目を剥く。
「はい、それがなにか? あぁ、ちゃんと許可は取りましたよ?」
ナズミはなんでもないような顔をしてそう答える。
「そ、そう...ご苦労様...」
アズミは若干顔を引き攣らせてそう言った。
「それじゃあ次、カズミ!」
「は~い」
「えっ!?」
ハインツが思わず口を開く。
「なにか!?」
「い、いや、今日は普通なんだと思って...」
「あぁ、あのキャラは疲れるんで止めました」
カズミはサラッとぶっちゃけた。
「キャラだったんだ...」
ハインツは力無く呟いた。そんなハインツを気にせずカズミが続ける。
「今の所、目立った動きはありません。男爵家を見張らせていますが、なにせ敷地が広いので...主要な出入口は抑えていますが、どこに抜け穴があるのか分からないので、予断を許さないよう警戒は続けております」
「そう...苦労掛けるわね...引き続きよろしく頼むわ」
「了解です」
「それじゃあ次、サズミ!」
「は~い」
また普通である。ハインツはもう突っ込まないことに決めた。
「男爵家の使用人に密偵を送り込もうとしたんですが、ガードが固くて無理でした。それでもなんとか通いではありますが、庭師を送り込むことに成功しました」
「それで首尾は?」
「はい、広大な敷地内の一角に、立ち入るどころか近くに寄ることさえ許されない場所があることを突き止めました。非常に怪しいので恐らくそこになにかあると思われます」
「その場所で間違い無さそうね。後は確たる証拠が掴めれば踏み込めそうなんだけど...」
「それに関してタズミから提案があるそうです。タズミ?」
「はいっ! お姉様!」
「いやお前は変わらんのか~い!」
もう突っ込まないと決めたのに、ハインツは思わず突っ込んでしまった...
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます