生徒会

 僕と生徒会役員共は、学校を出発してメトロで雑司ヶ谷から池袋まで移動した。

 そして、駅前のヤマダ電機で無事USBメモリを購入した。


 その後、適当なファミレスに入ってランチを食べることにした。


 一同は席に座る。女子達の会話が始まる。

 僕が女子達の会話を適当に聞き流していたところ、松前先輩が話しかけてきた。

「武田君が副会長をやらないというので、私がやることになったのよ」


「そうなんですね」


「ところで、私たちはパソコンに疎いから、IT担当ということで、生徒会に入らない?」


「いやいやいやいや。歴史研だけで手いっぱいですよ。それに他にもパソコンが得意な人はいくらでもいると思いますけど」


「あなたがいいのよ」

 松前先輩がグッと近づいて言う。


「なんで、僕なんですか?」


「恵梨香から人となりを聞いて、生徒会にふさわしい人材だなと思って」


「そうなんですか…? 僕の良い話はあまりないと思いますが…。エロマンガの一件とか」


「その件は、恵梨香の陰謀だったんでしょ? 生徒会選挙に関わった私たちは知っているから何とも思ってないわ。それに、武田君は、とても真面目だって聞いてるわ。勉強もできるみたいだし」


「勉強は中の上ぐらいですよ。とてもできるとは言えないと思います」


「でも、真面目なところが良いのよ。今時、貴重な人材よ」


「そうですかね?」


「じゃあ、決まりね」


「いやいやいやいや、待ってくださいよ。無理ですってば」


 伊達先輩といい、松前先輩といい、僕の周りには強引な人が多いな。


 僕らはそんな会話をしながらランチを平らげると、地下鉄で移動し、学校の生徒会室に戻った。

 僕は再びパソコンの前に座ると、買って来たUSBメモリをパソコンに差し込んだ。そして、パソコン内の古いデータを吸い上げる。


 伊達先輩の指示に従ってデータをどんどん移動させる。

 フォルダが大体年度別に分かれていたので、作業は楽だった。

 データの中を見せてもらったが、学園祭、体育祭などのイベントの写真とか動画、そのほか部活の申請書類、そのほか文章データが大量に入っていた。

 文書データの量から鑑みると、生徒会の仕事、大変そうだな…。


 30分もするとデータ移動の作業はすべて終わった。


 パソコンの動きは、少しはスムーズになったかな。

「これで、しばらくは大丈夫だと思います」


「「「「ありがとう」」」」


 生徒会役員女子4人にお礼を言われた


 僕が一息ついていると伊達先輩が話しかけて来た。


「IT担当の役員を適当に作るから、生徒会に入る?」


「いえ、遠慮しておきます」

 伊達先輩もしつこいな。


「じゃあ、パソコンで分からないことがあったら、またお願いできるかしら?」


「いえ…、それは、ちょっと」


「じゃあ、こうしましょう。パソコンを使う作業があるときだけ手伝ってくれるというのは、どう?」


「えーと…、その作業は沢山あるんですか?」


「私たちはパソコンがあまり扱えないから、パソコンを使う仕事は、さほどは無いわ」


「そうですか」

 だったら、そんなに呼び出されることもないだろう。

「まあ…、たまになら良いですよ」


「じゃあ、今日のところはもう大丈夫だから、帰ってもいいわ。本当にありがとう。あと、週末のお城巡り、忘れないでね」

 

 そうだった、今週土曜日は、お城巡りだった。


 僕は生徒会室を後にした。生徒会役員たちはもう少しやることがあるというので残るという。

 生徒会は夏休み中も仕事があるとは、ご苦労なことだな。ともかく、なるべく、巻き込まれないようにしよう。

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