第10話 八面鳥と魔法練習

朝6時に目が覚めた。

昨日遅くまで体力作りしてたんで眠いし、身体中バキバキして痛い。

井戸で顔を洗いいつもの体操と素振りを30×3セットだけやった。

朝食で牛乳500mlとバターを塗ったパンと串肉1本を平げた。


部屋に戻ると昨日買った衣服に着替える。

パンツとシャツは少しゴワゴワ感がある。

幅30cm程のサラシをたまに180°回転させて10周くらい腰周りに巻いた。

生地が意外と柔らかいのか、前屈みになってもそれ程圧迫感がない。

シャツはズボンから出したい所だが、皮ベストも着るのでズボンの中に入れた。


牛革のズボンを履いてベルトを絞めると、太股はブカブカだがそれ以外はしっくりくる。

屈伸運動をしたが膝の辺りも若干生地が伸びるようで動き易い。

結構良い素材かもしれない。  


ベストと黒いジャケットを着て準備完了。鏡が無いので分からないが、買い物をして新しい物を身に着けると気分がイイ。


ギルドに顔を出し掲示板を確認。

目新しい依頼は無いようだ。

今日も薬草採取しながら兎野郎でも狩ろうかな。 


「あら?服を買い替えたのね。似合ってるわよ。うふふ」

「ありがとうございます。毎日毎日出費が嵩んで貧乏暇なしですよ」

「ポーションは如何?」

「まだ使ってないので残ってますよ。お金も少ないですし余裕がありましぇ〜ん」


「説明してなかったけどポーションや解毒剤の空き瓶は1000ギルで引き取るから、実質1500ギルよ。危ないと思ったらどんどん使った方が身の為よ。今日は何をするの?」


「今日も薬草探しです。昨日は村を出て左側を探したんで、今日は右手を探してみます。」

「あっちには村の裏の山に繋がる山道があるけど、あまり上まで進まないでね。魔猪や野鹿がたまに出るから気をつけてね」

「了解しました。では行ってきます」


ギルドを出て肉屋でソーセージパン5個を1000ギルで購入して村を出た。


街道沿いを200m進み草原を歩いていると野兎が出た。

慎重に間合いを詰め剣を抜こうとしたら5m先で逃げられた。

その後も森の入り口までに2羽野兎に逃げられた。一角兎と違い人間を攻撃して来ないので逃げるタイミングが速く倒すのが厄介だ。


森に入りA層立て札を見つけB層に入る。 

辺りを警戒しながらゆっくり薬草を探しながら奥に進む。

「クェックェックェ。クェックェックェ」

草を食んでいる体長1m程の黒と茶の斑な丸っこい鳥を発見。

お尻の上の羽は扇みたいに開いており顔はニワトリより大人しそうだ。


「これが、八面鳥か!?」

ゆっくり背後から近寄り間合い3mくらいで踏み込んで剣を振り下ろす。

〈グサッ〉


「カァーカァッカッカ」

俺の剣は見事に土に食い込み八面鳥は5m先に逃げていた。


水筒を出し水を飲んで暫し考える。

今見た感じでは野兎程すばしっこくないし、体重もありそうだから飛べないかも!?

弓で狙うのが一番良さそうだが技術も弓も持っていない。

剣技斬では届くまい、ウォールで壁を出せば激突するかな?ホールで穴に落とすか!?


またゆっくりと近づいて間合い3mからダッシュ。

〈タタタタ〉

八面鳥が逃げる。

八面鳥の逃げる先を意識して「ウォール」

八面鳥の1m先に壁が現れたが右に避けられた。


「クゥー惜しい」

今度はもう少し手前をイメージして、

「ウォール」

よし、壁に激突しクラっとして停まっている。急いで剣を抜いて振り下ろす。

〈グサッ〉


また空振りで地面に剣が食い込んだ。

体重が軽いせいか大した衝撃ではなかったようで、ヨロヨロしながら逃げられた。

ヨロヨロしている八面鳥の直ぐ前に「ホール」八面鳥がスッと消えて穴に落ちた。


チャーンス 

思わず口角が上がり穴に落ちた八面鳥に剣を振り下ろす。

〈ブシュッ〉


血が飛んだ。

ふぅ〜何とか倒せた。

八面鳥をインベントリに回収して薬草を探す。


月見草と毒ダミ草を10本以上見つけた頃お腹が空いたので、一旦安全な草原に引き返して適当な岩に腰掛け食事休憩。


1時間程休憩し、また森に入った。薬草が中々見つからずB層の随分奥まで進んでしまった。

「クェックェックェ」


忍び足で近づいてダッシュ。

八面鳥が逃げ始めたので、「ホール」

くぅ〜左に逸れて失敗。

「ホール」


くぅ〜八面鳥の2m先に壁が出現して右に避けられて失敗。

精神を集中し八面鳥の動きを良く観察して「ホール!」消えた。

「ほらほらほらほら、やったぁ〜」

今度は穴の上から飛び下り、上から真っ直ぐに剣を突き刺した。


本日2羽目の八面鳥ゲット。

これ幾らになるんだろう?

一角兎よりは全然肉の量も多いし期待に胸が躍る。

ステータスオープンしたらMPが9しか残って無かった。

「村に帰るまで魔法使うのはやめるか」


穴から出るとあの赤い目が睨んでいた。

「ちょいと遊んでやるか。今回は剣技も魔法も使わないで、攻撃を避ける練習台にしてやら〜掛かって来いや〜」


剣だけ正眼に構え兎野郎の動きを良く見る。

右に左にジグザグに近づいて来て、顎を引いて角を俺の太股目掛けてジャンプした。

俺は右に半歩ずらして剣の腹で兎野郎を振り払う。


「どうした?そんな悔しそうな顔しやがって。もう一回来いや〜」

10分程避ける練習をしてトドメを刺した。


森を抜け草原に近づくと兎野郎が2羽同時に現れイチャイチャしていた。

「おや、カップルかい?死にたく無ければ立ち去るが良い。最早、君達は俺の敵ではない」


若干小さい方が雌だろうか!?

大きい方が前に踏み出て庇うような仕草をしている。

大きい方は突っ込んで来たが、もう1羽はまだ動かない。


「2羽同時に相手するのも訓練だ。以前ぷりケツを刺されて痛い目に遭ったが練習台にしてやろう」

雄の攻撃を3〜4回躱していると、背後から雌が襲ってくる気配がした。


「甘いわ、未熟者め」

振り向いて剣の腹で薙ぎ払う。

雌は2m程吹っ飛んだが立ち上がる。

今度は2羽同時に交互にジグザグに突っ込んで来る。


「ほう、夫婦ならではの息の合ったコンビプレーか」


俺はそれを1m程ジャンプして躱し、左手の掌を上にし指先だけクイクイして挑発する。

15分程避ける練習をして奴らを葬った。


村まで残り100m程でもう1羽現れたが面倒臭くなったので一撃で仕留めた。

(タタタ、タラッタラターン)

レベルが上がった。

 


ダイチ・クゼ  15才  Lv3→up

職業 冒険者【Z】

HP40/40 +5

MP 23/30 +5

攻撃力 17 +3

防御力 17 +3

魔攻撃 09 +3

魔防御 07 +1

敏捷性 15 +2

耐久力 16 +3

運   14 +2

剣術 Lv1斬

土魔法Lv1 ウォール ホール

生活魔法 クリーン ライト

EXスキル インベントリLv1


よっしゃ〜レベル上がってMP回復したし、村まで直ぐだから魔法の練習もしてみるか。


「ウォール!ホール!ウォール!ホール!

ウヮール!!!」あ、間違えた。

発音が似ていてややこしいだよ。全く。

土遁の術ってあった気がする!?

土遁も壁だよね!?

「ドトン!」うぉ〜壁出来たよ。

「ドトン!ドトン!ドトン!」

あ〜最後失敗した〜魔力切れで気持ち悪い。

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