第2話 殺し合い鬼ごっこ
「しーくん、早く学校行こ!そうじゃないと遅刻しちゃうからはーやーくー」
「うるさいなぁ、そんなこと言うんだったら自分だけ勝手に先に行けばいいっていつも言ってるだろ。なんで毎回わざわざ俺の家まで迎えにあるんだよ。お前の家の方が学校近いんだからさ」
頼んでもいないのに毎日家まで迎えに来る姫乃のせいで俺はいつもギリギリまで寝ることができない。俺としては朝くらいは一人でゆっくりさせて欲しいのだが。
(まぁ帰りは俺が夢乃のこと送ってるし結果的にはやってることは一緒なんだけどな)
少しため息をつきながら俺は準備をして家を出る。
俺の姿が目に入った瞬間、姫乃がまるで小さい子供が無邪気に向かってくるかのように俺のところまでやってきた。
「ほらしーくん、かわいい幼馴染が迎えに来てあげたんだから感謝しなさい」
「いや別に頼んでないんだからそんなことしないぞ」
「むかっ!そ、そんなこと言われるなんて。夢乃は悲しいぞ」
「怒ってんのか悲しんでるのかどっちなんだよ。ってか自分でむかっとか言うやつ初めてみたぞ」
姫乃がポカポカと俺の背中を殴るが全く痛くない。
これがいつものお決まりのパターンだからだ(側からは朝からイチャイチャしてるカップルと思われている)。
「ふんっ!しーくんのばーか!もう来てあげないもんね」
「あぁ、勝手にしろ」
こんな今までと何も変わらない日常がいつまでも続けばよかったのに―
轟々と降りしきる雨の音で俺は目を覚ました。
「………はっ………よかった、俺生きてた」
とりあえず今は生きててよかった。でもどうやら俺は外に投げ出されて捨てられたらしい。いつからか降っている雨のせいで全身泥だらけだ。
(ってあれ?)
俺は自分の服がここに連れてこられる時に着ていた物とは違うものになっていたことに気づいた。それに俺の横にはリュックサックがひとつ置かれており、俺が持っていた荷物は無くなっていた。
「ってかここどこなんだ?どっかの山か何かか?」
辺りを見渡してみるが、見渡す限り深い森林になっていて状況が掴めない。
まずはなんとかして人に出会わなければどうしようもない。
俺はひとまず、横に置かれているリュックに目を向ける。
「これは俺を拉致った集団が忘れてったものか?いや、こんなあからさまに置いとくわけがないか。それにしてもなんでこんなとこにあるんだ?」
不思議に思いながらも俺は中を覗く。
すると中にはスマホが一つと何かの鍵が一つ入っていた。
(何でスマホが?俺のやつじゃないし誰のやつだ?)
俺は一度スマホを手に取り電源を入れる。するとその瞬間、端末から映像が空中に投影された。
(どうなってるんだこれ?こんなことができるスマホなんて俺は見たことないぞ)
すると機械じみた女性の音声が流れていた。
『おはようございます。SPIRAL GAMEへようこそ。これからあなたには1stステージの
プレイヤーの人数は合計100人です。
【ルール】
鬼となるプレイヤーから逃げ切れるもしくは自分たちのチームが鬼のときに、逃げているプレイヤーを全滅させればゲームクリアとなります。また鬼となるプレイヤーに捕まった場合は殺されます。反対に、自分が鬼の時は捕まえたプレイヤーを殺してください。
また時間は無制限です。
【クリア条件】
先にどちらかのプレイヤーチームが全滅させた場合、残っているプレイヤーチームの勝利。2ndステージに進むことができます。ただし進めるのは、最低でも一回はプレイヤーを殺した者に限る。
【殺傷方法】
殺し方はご自由ですが、エリアとなるこの島のどこかにあるアイテムボックスの中に殺傷に使えるたのもしいアイテムが入っていますのでどうぞご自由にお使いください。
【注意】
※これらのルールは必ず守ってください。守れないプレイヤーはこちらが処分させていただきます。
以上のルールを守って楽しい殺し合いをお送りください。
一通り、読み終えた俺は猛烈な恐怖に襲われた。
「いきなりなんか知らないゲームが始まってるしどういうことだよ。殺すとか殺されるとか。それにエリアはこの島って言ってたってことはここからは逃げられないってことかよ。そんなの理不尽すぎるじゃん、俺は人なんて殺したくねぇよ。殺されるのもごめんだし」
俺はひとまずこのままではまずいと思い、荷物を持って逃げようとしたそのとき、耳元を猛烈な勢いで何かが通り過ぎ、何かに突き刺さった音がした。
すぐさま振り返り確認すると、ちょうど俺の後ろにあった木に、矢が突き刺さっていた。
「嘘だろ………」
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